イーブック第2四半期赤字転落 競争増す電子書籍ビジネスで海外事業、新事業を目指す

電子書籍市場の好調を背景に成長してきた電子書籍サービスのイーブックイニシアティブジャパンが2016年1月期第2四半期の連結決算で赤字となった。第2四半期までだが、2011年の上場以来、同社が決算で赤字を計上するのは初となる。
第2四半期までの売上高は29億4400万円と前年同期比で24.5%増。電子書籍事業が拡大したほか、第2四半期からは中国事業の上海漫客、クロスメディア事業のブークス、マグネットを連結決算に取り入れたことも影響している。一方営業損失が7500万円、経常損失が7600万円、四半期純損失が7600万円と、いずれもマイナスとなった。イーブックによれば赤字計上は、新規事業などの積極的な投資をしていること、のれん償却をしたためだという。

このうち電子書籍の配信事業は、売上高24億6800万円。国内外の自社サイトでの電子書籍配信と書籍の電子化受託、電子書籍配信プラットフォームの受託開発、さらにeBook図書券の販売などが含まれる。電子書籍の配信ではマンガ13万2000冊を含む38万6000冊を取り扱う。
電子書籍提供の売上高は1億4400万円となった。中国の上海漫客の事業も含めて、国内外へのパートナー企業への電子書籍配信システム、書籍データの提供をする。
クロスメディア事業は3億3300万円の売上高である。スマートフォンアプリやプロモーション、ウェブコンテンツ、中国向けのプロモーション事業などから構成される。ブークス、マグネットの連結化で、今期から売上げが拡大している。

イーブックが主力事業とする電子書籍配信は、インプレス総合研究所の調査によれば、2012年に729億円、2013年に936億円、2014年に1266億円と急成長している。今後も2年後に約2000億円、5年後に3000億円市場を視野にいれる有望市場だ。しかし、有望市場だけに新規参入も多く、既存のプレーヤーも含めて競争が激しい。イーブックの電子書籍事業の伸び率も落ち着きはじめている。
そこで同社は2015年に新たな展開に向けて動きだしている。事業再編もそのひとつで、ブークス、マグネットの子会社化を実施した。さらに海外展開、スマートフォンアプリやオリジナルコンテンツの無料雑誌などの新規事業がある。

海外事業では2015月4月に中国に現地企業と合弁の上海漫客网络科技有限公司を設立、日本マンガを中心としたコンテンツ配信プラットフォームに乗り出した。さらに2015年11月にはインドネシアの総合メディア企業グループのコンパス・グラメディアと共に、同国向けの電子書店「MangaMon」をオープンする。日本マンガの人気の高い巨大市場での事業拡大を目指す。
アプリではグループ会社フォーリーの知育アプリ、教育サービスの企画・開発に力をいれる。同社の童話・童謡の外部提供も大きな施策のひとつだ。
10月からは萌え系マンガを中心としたオリジナル作品で構成する無料のデジタルマンガ雑誌「みんなのコミック」をスタートする。ウェブとアプリの双方で利用可能となる。昨今、マンガ業界で新たなトレンドのなっている無料のオリジナルマンガアプリに進出する。

こうした積極的な事業展開もあり、収益面では目先は厳しそうだ。イーブックは2016年1月期の連結業績予想の修正を発表している。
連結売上高は3社を新たに連結決算に含めることもあり、当初の60億円~70億円のレンジから70億円~75億円のレンジに引き上げた。一方でこれまで2億円のマイナスから1億円の利益の間としていた営業利益、経常利益はいずれも収益ゼロ~2億円の損失に変更されている。当期純損益も収益ゼロから1億2800万円の損失とした。通期黒字化に対して、より慎重な見通しとなった。
今後は来期の業績がより関心を集めそうだ。今期の投資がどのような成果を出すかが鍵を握ることになる。