IGポート通期決算 売上高が大幅拡大、出版事業好調も、減益で着地

アニメ製作大手・出版事業のIGポートは、2015年7月10日に平成27年5月期(2014年6月~15年5月)の通期決算を発表をした。同社はアニメ制作のプロダクション I.G、ジーベック、ウィットスタジオ、マンガ出版のマッグガーデンなどを統括している。また今回の決算から新設のアニメスタジオであるシグナル・エムディも連結決算に含めた。
連結売上高は87億6500万円と25.5%増、営業利益は2億6700万円(58.5%減)、経常利益は3億800万円(51.3%減)となった。また当期純利益は1億500万円のマイナスだった。増収減益だ。純損失は第3四半期に映像マスターの減損処理したことが響いた。将来発生する可能性のある損失を先回りして計上することで、28年5月期以降の経営の負担を減らしたかたちだ。

売上高の大幅増加は、映像制作事業と出版事業が中心となっている。とりわけ映像制作事業の売上高が59億1700万円で前期47.9%増と大きかった。また営業損益は2億9300万円のマイナスであった。
売上高の増加は大作『GARM WARS The Last Druid』をはじめ、『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』『進撃の巨人 総集編前編』『百日紅~Miss HOKUSAI~』と劇場作品が5本あったことが大きい。またテレビアニメでは『黒子のバスケ 第3期』『ハイキュー!!』『アオハライド』『フューチャーカード バディファイト』『蒼穹のファフナー EXODUS』『ローリング☆ガールズ』とこちらも数が多い。

映像制作事業の決算は、昨今のアニメ制作の現場の状況も反映してそうだ。アニメ業界ではアニメ制作の本数が近年大きく増加している。一方で制作コストも上昇しているとみられるからだ。
IGポートはコスト増加要因として、企画費用の増加、制作期間の長期化、デジタル化に向けた人材育成、広告宣伝費をあげる。そこからは制作コスト上昇の一方で、今後アニメ制作の鍵となるデジタルアニメのための先行投資や製作委員会への出資強化など、将来の事業展開に向けた戦略投資も行っていることが分かる。

出版事業は好調だった。売上高は16億4400万円と前期比で26.9%増となった。また営業利益も2億5400万円と前期のほぼ3倍であった。
期中にテレビアニメが放送された『曇天に笑う』が好調だったのに加えて、『魔法使いの嫁』などのヒット作が牽引した。今後は、さらにマンガ原作をメディアミックスの核とした展開も期待される。

版権事業の売上高は8億6700万円(前期比38.5%減)、営業利益は3億6200万円(36.7%減)である。前期に大きく伸びた『進撃の巨人』や『宇宙戦艦ヤマト2199』の反動で減収減益とはなったが、依然グループ全体の利益の多くを生み出している。
その他事業は、売上高3億3600万円(前期比20.8%増)、営業利益が2500万円である。ここには商品化やアプリ事業などが含まれる。

一方、平成28年5月期の連結業績予想は、売上高68億4200万円(21.9%減)、営業利益2億5700万円(4.0%減)、経常利益3億1700万円(2.7%増)、純利益1億8000万円を見通す。売上げを絞る一方で、利益は前年並みとする。売上げの拡大より、利益重視を目指すようだ。