イマジカ・ロボット、世界最大の映像ローカライゼーション企業買収 日本コンテンツの海外展開も期待

映像制作関連事業の大手イマジカ・ロボットホールディングス(イマジカ・ロボットHD)は、2月19日、米国の映像コンテンツローカライゼーションサービス企業SDI Media Central Holdings Corp.(SDIメディア)を買収すると発表した。SDIメディアの株式の50.1%を約70億円で取得、2015年4月1日付で連結子会社とする。
またイマジカ・ロボットHDのほか、クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)も全体の49.6%、住友商事が0.3%を出資する。SDIメディアの全株式を日本企業が保有することになる。

SDIメディアは米国カリフォルニア州に本社を持つ映像吹替え、字幕に特化した企業である。世界37ヵ国に拠点を持ち、80言語以上の映像コンテンツの多言語吹替や字幕を行う。この分野の世界最大手で、従業員は約1100名、年間売上高は約200億円になる。
今回の買収でイマジカ・ロボットHDの年間連結売上高はこれまでの約500億円から約700億円と一挙に1.4倍になる。さらに海外ネットワークも飛躍的に拡大する、野心的な買収だ。

イマジカ・ロボットHDは買収の目的として、顧客に対する字幕・吹き替えサービスの提供やSDIの顧客の取り込み、世界市場への展開などをあげる。イマジカ・ロボットの得意とする国内の映像制作市場は、技術サービス、システム事業は今後大きな拡大は見込めない。さらに映像ソフト制作はBlu—rayやDVDを中心に市場縮小も予想される。
そこで新事業としてローカライゼーション、さらに海外展開に乗り出すことになる。グループの主力会社のイマジカは映像のポストプロダクション事業を手掛けるが、映像完成後にさらに海外展開に向けたローカライゼーションはつながりやすい。SDIメディアの買収は大きなシナジー効果を発揮する可能性が高い。とりわけ海外輸出が多いアニメーションの分野からは大きな関心を呼びそうだ。

そして今回、大きな役割が果たすのがクールジャパン機構である。クールジャパン機構は、日本のコンテンツやクリエイティブを活用した海外展開を目的とした官民出資の投資会社である。メディア・コンテンツ分野はなかでも大きな力を入れる分野だ。
これまでにも海外向け動画配信の株式会社アニメコンソーシアムジャパンやポップカルチャーのECサイトTokyo Otaku Modeなどへの出資を決めている。SDIメディアにおいては全体の半分近い出資をすることで、イマジカ・ロボットHDの資金負担を軽減したかたちだ。クールジャパン機構はイマジカ・ロボットHD =SDIメディアを通じた日本の映画、テレビ番組、アニメーションなどの多言語化の活性化を期待しているだろう。

実際に映像コンテンツの海外販売において、当初より多言語吹替え、字幕があることが競争優位性になるとされる。またこれまで日本の映像コンテンツでは、海外展開において地域ごとにライセンスを販売し、現地企業が各国版を制作するケースが多かった。このためテキストや音声などの権利が、日本の権利者に帰属せず、問題が発生するケースもあった。今後映像の海外展開において、多言語版を日本企業が自ら制作する流れも強まる可能性が大きい。
クールジャパン機構に出資する経済産業省はこれまでJ-LOP(ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金)事業を通じてこうしたローカライゼーションを支援してきた。これが映像コンテンツの海外展開に大きな力を発揮した。SDIメディアの買収は、こうしたローカライズ事業をさらに一歩進め、一過性の支援に終わらせないとの考えかたがありそうだ。
[数土直志]

イマジカ・ロボット ホールディングス
https://www.imagicarobot.jp/

クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)
http://www.cj-fund.co.jp/