2015年公開、国内劇場アニメは昨年を上回る勢い 公開とイベント上映の融合進む

編集部では、2015年の劇場アニメの公開予定作品を集計した。この結果2015年に劇場公開・イベント上映をする国内劇場アニメは、2014年12月31日の段階で40本を越えている。2011年(22本)、2012年(約30本)、2013年(約30本)、2014年(40本近く)を上回った。依然、劇場アニメは増加傾向だ。さらに海外アニメーションの公開が既に8本~10本明らかにされている。
ただし、劇場公開とイベント上映の区別がますます曖昧になっており、劇場公開に匹敵する規模のイベント上映はリストに含めた。「コードギアス 亡国のアキト」シリーズなどである。

今回の数字は2014年12月31日現在のため、現在公開が発表されていない作品が今後加わる。実際に2015年9月以降の公開日はほとんど明らかになっていない。
春休みや夏休み、ゴールデンウィークなどのハイシーズンは、ほぼ毎週アニメ映画が公開される。有力作品のバッティングも増えており、例えば3月7日には「ドラえもん」と「プリパラ」、4月4日には「たまゆら」と「ガルガンティア」、4月18日は、「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」「ドラゴンボールZ」の公開日が重なる。好調とされている劇場アニメだが、競争は確実に激化している。
[数土直志]

2015年 アニメ映画 劇場公開リスト(2014年12月31日現在)
http://animeanime.jp/article/2015/01/01/21431.html

■ 劇場アニメも競争激化へ

上映本数の増加は、アニメの興行が好調とされることが大きな理由だ。このため新規参入が増えている。「プリキュア」シリーズの好調に対して「アイカツ!」や「プリパラ」といった女児向けアニメの劇場版、「それいけ!アンパンマン」の成功に対しては「しまじろう」や「かいけつゾロリ」の未就学児向けアニメのシリーズ化などである。
また「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の成功は、深夜アニメ発の劇場アニメの流れを加速化させた。

配給側からのニーズも増している。東宝映像事業部はコアファンに向けた作品の小規模配給にさらに力を入れている。東映、松竹も作品数は堅調だ。さらに映像ソフトのメーカーのアニプレックスは、2015年に「アップルシード アルファ」「心が叫びたがってるんだ。」、劇場版「ペルソナ3」の配給を発表している。
一方でかつてはアニメの配給の多かったクロックワークス、ティ・ジョイ、東京テアトルなどは作品数が減っている。これまでヒットの多かったワーナー・ブラザースも2015年は現時点で、国内アニメ映画の配給発表はない。こうした配給会社がアニメに興味がないわけでなく、むしろ作品が取り合いになっており、それが劇場アニメの増える理由のひとつと言っていいだろう。

■ 依然拡大進む上映本数、公開とイベント上映の融合が進む

アニメの上映が増えるもうひとつの理由は、劇場のライブ化である。「機動戦士ガンダムUC」に始まるイベント上映は、ファンの多様なニーズをつかむ方法として様々なヴァリエーションを生みだしながらますます拡大している。
有名タイトルや深夜アニメのヒット作のさらなる展開として、上映館数を絞りこみ、上映時間を短くすることでリスクを抑えながらの劇場サイズのアニメ製作が可能になってきた。さらに劇場ならではのライブ感はファンの熱気を高め、劇場での物販も展開出来る。映像ソフト市場の縮小をカバーする役割も期待される。

また劇場公開とイベント上映の境はますます曖昧になっている。2014年で言えば、「新劇場版「頭文字D」Legen1」は1時間ない尺で劇場公開とした。
一方で「楽園追放」は劇場映画として制作されたが、興行形態を敢えて「劇場上映」として公開と名を打たない。これは公開だと出来ない劇場でのBlu‐ray同時販売のためのマーケティングとも見られる。いずれにしろ、作品を鑑賞するうえではこのふたつは今ではほとんど意味のない区分になっている。

■ 正念場のオリジナル作品

劇場アニメが好調とされるなかで、課題となるのはオリジナル作品だ。全体の本数は増えているが、実際には前述のとおり、有名タイトルや深夜アニメからの劇場展開が多い。さらにキッズ向けでは、決まった時期に劇場作品が登場する長年のシリーズが大半だ。
これまでスタジオジブリ作品を除くと、オリジナル長編アニメは興行で苦戦するケースが多かった。それが製作サイドにも影響を与え、オリジナルアニメの制作は減少傾向にある。

2014年には国内長編オリジナルアニメを牽引してきたスタジオジブリが制作の休止を明らかにしている。オリジナル作品にはますます厳しい時代となりそうだ。
そうした中で2015年に期待されるのが、7月に公開される細田守監督の3年ぶりの映画「バケモノの子」だ。「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」と原作からのオリジナルへの挑戦、興行成績も拡大している。ポストジブリの期待の声は大きい。
この他オリジナル作品は、原恵一監督の「百日紅」、長井龍雪監督の「心が叫びたがってるんだ。」が2015年に注目される。また2015年から本格的に劇場製作を目指すフジテレビ“ノイタミナ”の伊藤計劃プロジェクトの3作品「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」も関心を集めている。

■ 海外アニメーションの動向:ポストジブリはディズニー

ポストジブリを考えた時に、思わぬ伏兵は国内でなく海外にいる。2014年はディズニーアニメーションの「アナと雪の女王」が興収約260億円の記録破りの数字を残した。こうした国民的大ヒットは、宮崎アニメを彷彿させる。子どもから大人まで愛されるアニメーションはもともとディズニーの目指したものである。
2014年12月公開の「ベイマックス」も大ヒット、実写映画もヒットが続く。宮崎アニメに足を運ぶ人たちの受け皿にディズニー作品がなったとしても不思議はない。

ディズニー好調を続ける一方で、他の海外アニメーションは日本では厳しい状態が続いている。とりわけハリウッドメジャーの大作CGアニメーションは日本未公開、もしくは小規模興行にとどまるケースが続出している。海外では大ヒットのドリームワークス・アニメーション作品は、2012年の「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」以降、日本公開がひとつもされていない。
ところが2015年のリストを見ると、ディズニー作品以外で公開決定したアニメーション作品が意外に多い。「オズ めざせ!エメラルドの国へ」「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」「映画 きかんしゃトーマス」「スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo(う~)!」「映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~」「リトルプリンス 星の王子様と私」「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」などである。
これらの作品に共通するのは、作品のキャラクターが長年日本で愛されていることだ。スヌーピー、ムーミン、トーマス、星の王子様…。日本で期待される海外アニメーションは高予算のCGアニメーションでなく、誰でも知っている馴染みのキャラクターが活躍する作品のようだ。

[アニメ!アニメ!/animeanime.jp より転載記事]