東映アニメ第2四半期 前年比減収も、海外躍進で通期業績上方修正

国内アニメ製作の大手東映アニメーションは、10月30日に平成26年3月期第2四半期の決算を明らかにした。第2四半期までの連結売上高は143億7300万円と前年同期比で9.7%減となったが、営業利益は19億1100万円(4.9%増)、経常利益は21億600万円(2.3%増)、四半期純利益は13億6000万円(5.7%増)と安定している。
売上げの減少は昨年あった劇場映画の大型作品が少なく、制作収入などが伸び悩んだためだ。同様に映像ソフトでも『ワンピースフィルムZ』や「ドラゴンボール」シリーズに匹敵するヒットがなかった。全体に前期の『ワンピースフィルムZ』や『ドラゴンボールZ 神と神』の大ヒットの反動減の色合いが強い。一方で、テレビアニメ制作の大幅増と当初見込みを上回る海外事業の急伸が全体の底支えをした。
第2四半期までの業績を受けて東映アニメーションは、通期業績予想を上方修正している。売上高は260億円から270億円に、営業利益は24億円から32億円、経常利益は27億円から35億円、当期純利益は17億円から23億円にそれぞれ引き上げられた。

■ 劇場アニメが落ち込み、テレビアニメが大幅増収

映像製作・販売事業は、劇場アニメ部門とテレビアニメ部門が対照的な結果だった。劇場アニメでは『映画プリキュアオールスターズNewStage3』と映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』を公開したが、前年同期の『キャプテンハーロック』や劇場版『トリコ』の製作収入や『ドラゴンボールZ 神と神』のヒットに及ばず、大幅な減収だった。
テレビアニメ部門は、制作が前年同期の5作品から8作品に増えたことで大幅増収となった。売上高は16億2900万円から21億6700万円に拡大している。
パッケージソフト部門は前年同期に比べて大幅減収、海外部門は大幅増収だった。部門全体の売上高は66億3300万円(7.4%減)、セグメント利益は7億3500万円(86.1%増)である。

版権事業の売上高は48億4300万円(6.0%減)、セグメント利益は20億1200万円(2.0%減)である。前年同期にあった遊技機の大口契約に相当するものがなく、国内部門は低調だった。海外部門で中国向けアプリゲームの契約があり、全体ではほぼ前年並みになった。
商品販売事業も、『ワンピース』の関連商品の軟調と前年の『ドラゴンボールZ 神と神』の反動から減収となった。売上高は21億5700万円(24.5%減)、セグメント利益は3100万円(36.0%減)である。

■ 海外好調、売上げの24%は海外映像と海外版権

今期上半期の大きな特徴は、海外関連事業の好調だろう。映像製作・販売事業では海外映像が前年同期の15億7200万円から22億800万円と40%増、版権事業では海外版権が7億3900万円から12億200万円と62%増と急伸している。海外事業全体の売上げは34億5000万円の49%増で全体の24%を占める。
海外事業好調の理由のひとつは中国向けビジネスの拡大だ。映像では中国向けの映像配信権販売、海外版権では中国向けの『ワンピース』や『ドラゴンボール』のアプリのライセンスが好調だった。加えて北米向けの映像配信権・ビデオ化権の販売も好調であった。東映アニメーションが力を入れてきた海外事業の利益化が実現したシーズンとなった。

■ 海外事業強化とCG映画開発

海外展開は今後も積極的に進める。まず、組織の中での海外担当部署の効率化と強化が図られる。2014年7月1日には、版権事業部と海外ライセンス事業部を統合しライセンス事業部を新設した。グローバル展開を同時進行できる体制を目指す。また海外子会社の人材強化や権限移譲も進めるとしている。
今後の海外展開は国内で人気の作品に加えて、海外に強い作品の開発も鍵になりそうだ。海外映像販売では、『キャプテンハーロック CAPTAIN HARLOCK』が2億5600万円の売上げ、『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』が1億7100万円の売上げと『ワンピース』と『ドラゴンボール』に続いて、それぞれ3位と4位だ。『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』は、ブラジルの映画興行で初登場第2位だった。またフランスで150スクリーンの公開予定、日本映画の公開が少ないイタリア、スペインでも公開される。

実際に東映アニメーションは現在、海外公開先行型の劇場作品を企画検討中としているとする。また、その際にはCG映像も鍵になる。実際に『キャプテンハーロック CAPTAIN HARLOCK』と『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』はいずれもCG作品である。2014年にはセルタッチのフルCG『楽園追放』も劇場上映されるが、さらに複数の大型CG劇場作品の企画を進めている。ハリウッド向けの実写映画『ガイキング』の企画も進行している。
東映アニメーションのビジネスは、地域的には日本から海外へ、映像としては2DセルタッチからCG・実写に向かっているようだ。日本を代表するアニメ製作会社のそうした事業の成否は、多くの関心を集めるに違いない。