海外向けアニメ配信とECで業界連合の新会社、クールジャパン機構出資でオールジャパン体制再出発

10月30日、バンダイナムコホールディングスとアサツー ディ・ケイ、アニプレックスの3社は、2014年11月7日付で共同出資の株式会社アニメコンソーシアムジャパンを設立すると発表した。資本金は5億円、バンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸氏が代表者を兼任する。新会社は設立後に海外向けアニメ配信のDAISUKI株式会社と事業統合を行い、さらに海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)から出資を受ける。
アニメコンソーシアムジャパンは、日本のアニメを海外向けに正規配信する会社になる。同時にアニメ関連商品やデジタルコンテンツの販売をするECサイト運営も目指す。日本アニメの海外展開に向けた戦略会社の位置づけだ。

アニメコンソーシアムジャパンと事業統合するDAISUKIは、2012年10月に国内アニメ関連事業を手掛ける7社:アサツー ディ・ケイ、アニプレックス、サンライズ、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、日本アドシステムズ、電通の共同出資にて設立した。やはり海外向けの日本アニメ配信を目指していたが、配信タイトル数が伸び悩み、競合企業のクランチロールなどに後れを取っていた。
アニメコンソーシアムジャパンはDAISUKIのアニメ配信事業を承継し、さらに強化するとみられる。国内企業連合による海外向け事業の再編、資本関係の再構築と言っていいだろう。
アニメコンソーシアムジャパンでは、DAISUKIでは出資を行っていなかったバンダイナムコホールディングスが新たに株主に加わっている。さらにアニプレックスとアサツー ディ・ケイが出資金額を増やす。DAISUKIではアサツー ディ・ケイとその子会社の日本アドシステムズで約4割を出資し、事業を牽引してきた。アニメコンソーシアムジャパンではこれに加えて、バンダイナムコグループとアニプレックスの役割が大きくなりそうだ。さらにそれを日本コンテンツの海外進出をファイナンス面で支援するクールジャパン機構がサポートするかたちだ。

DAISUKIの海外配信の苦戦は、人気作品の海外向け配信のライセンスの多くが同業他社に販売され、ラインナップを十分拡大出来なかったことが理由に挙げられてきた。しかし、新会社の設立とクールジャパン機構の出資で、作品ライセンスの買い付け余力は拡大しそうだ。さらにバンダイナムコグループの映像会社バンダイビジュアル、そしてアニプレックスは、国内アニメ映像ソフトのトップ2である。アニメコンソーシアムジャパンに大きな後ろ盾になるだろう。
さらに海外向けアニメ配信事業だけでは当初の収益化は難しいと見られるなかで、ECサイト運営を掲げたことは意味が大きい。バンダイナムコグループには、バンダイやバンプレストといった国内でも有数の玩具事業を持つ。さらにアニメ・キャラクターグッズのECサイト運営に実績がある。海外向けの正規版グッズのEC販売は今後も有望なビジネスと業界内でみられており、、EC事業で収益化を目指すと見られる。

海外向けの日本アニメ配信は、米国に本社に持つクランチロールが急成長し、業界内で大きな役割を果たしている。しかし、日本企業サイドではやはり日本の立場から作品をコントロールしたいとの思いが強い。
さらにアジア圏やヨーロッパなどの非英語圏では、まだまだ正規のアニメ配信は不十分だ。アニメコンソーシアムジャパンは英語だけでなく、多言語配信を目指すとしている。日本のアニメをより多くの地域で正規に配信するというアニメ業界としてのミッションも背負うかたちだ。
日本のコンテンツの海外配信は、個別企業だけでなく、業界がまとまって行動することが必要と言われてきた。しかし、マンガ出版社が協力して支援した海外向けマンガ配信のJ-Manga、そしてDAISUKIとこれまでは確かな成果が出せていない。アニメコンソーシアムジャパンがこれを打ちやぶるのかが注目される。
[数土直志]