サンフランシスコから日本カルチャーを発信! New People Cinemaインタビュー

今年も米国・サンフランシスコのジャパンタウンで第6回J-POPサミットフェスティバル(J-POP SUMMIT FESTIVAL)が7月19日〜20日に開催され、12万人の来場者数を記録したのは記憶に新しい。
(参照記事:http://animeanime.jp/article/2014/08/02/19678.html

いまやサンフランシスコの夏の風物詩となった感のあるJ-POPサミットだが、 同時開催されたサンフランシスコ日本映画祭(Japan Film Festival of San Francisco)は今年でまだ2年目という。
今年のJ-POPサミットや日本映画祭の様子を、2009年の開始当初から携わって来たNew People社 Executive Directorである飯干真奈弥氏にうかがった。
[取材・構成: ロミ]

 

―今年の手応えは?

左)飯干真奈弥氏(New People社 Executive Director)、右)『利休にたずねよ』の田中光敏監督
左)飯干真奈弥氏(New People社 Executive Director)、右)
『利休にたずねよ』の田中光敏監督

今年のJ-POPサミットは、おかげさまで2日間で過去最高の12万人を集客するという大変な人出となりました。「音楽」と「ファッション」をメインのコンテンツとしてブランディングしてきましたので、全米に数多くあるアニメ•コンベンションとは一線を画し、より幅広い客層を引きつけていると考えています。
また、セガ、宝酒造、サッポロ、伊藤園、明治製菓、ユニクロ、キッコーマン等、米国市場を独自に開拓してこられた日本を代表する企業の皆様に、毎年スポンサーとして多大なご支援を頂いており、感謝の念に堪えません。

昨年からは「ポップグルメ•フードフェスティバル」という日本の食をテーマにした企画も併設しているのですが、 今年は初めての試みとして”ラーメン•ストリート”と称し、人気ラーメン店6店舗が屋台を出したところ、西海岸の人気ラーメン店や日本からの初上陸店が集結したため、ベイエリア中のラーメン好きがフェスティバル開始前から波のように押し寄せ、身動きが取れないほどの盛況となりました。
同じく昨年から始めたサンフランシスコ日本映画祭は、同じくジャパンタウンにあるNEW PEOPLE ビル地下の劇場を会場として、今年は20本ちかくの作品を上映しました。アニメ作品の他、実写やドキュメンタリー、ショートフィルムなどバラエティのあるラインナップです。ショートフィルムのプログラムでは、日本の「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」とのコラボレーションとして、日本の若手作家の短編を5作品上映致しました。

昨年は『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』や『おおかみこどもの雨と雪』などのアニメ映画の大ヒット作や、『るろうに剣心』など人気漫画が原作の実写映画もありましたので、チケットも早くに完売し、映画祭としては大成功でした。また、『夢売るふたり』の西川美和監督、『図書館戦争』の佐藤信介監督など、現代の日本映画界にとって宝のような方々をお招きすることができ、期待以上の一年目となりました。
ただ、2年目となる今年は、ちょっと趣向を変えてみようと前から思っていて。J-POPファンによる集客だけではなく、もっと幅広く、日本映画に興味のある観客ともっと向き合ってみようと思い、骨太で良質な日本の実写映画をより多く選ばせて頂きました。今年、一番最初に完売した作品のは『利休にたずねよ』(Ask This Of Rikyu)だったのですが、 田中光敏監督にも舞台挨拶に来て頂き、上映後には映画のなかで使われていた本物の楽茶碗に関する貴重なお話を伺う機会を持つことが出来て、観客からもかなりの好評を得ました。

もちろん、今年もポップな側面を映画祭に含まなかったわけでは決して無く、映画祭のゲストにはほかに、 J-POP サミットでもパフォーマンスをして頂いた、アイドルの東京女子流(『5つ数えたら君の夢』『学校の怪談•呪いの言霊』USプレミア)の皆さんや、俳優の古川雄輝さん(短編映画『wo ai ni in Tokyo』プレミア)にも来て頂き、アメリカ人のファン達との交流を深めて頂く機会ができました。今後も、さまざまなゲストの方を御呼びしたいと思っています。

残念ながら、すべての映画が完売、というわけには行きませんでしたが、すべての上映作品を毎日観に来てくれたアメリカ人の日本映画ファンがいてくれたり、亡き中村勘三郎さんのドキュメンタリーを見に来られ、涙ながらに「感動しました」と喜んでおられるご年配の方の姿を目の当たりにすると、素直に嬉しいですし、とてもやりがいを感じます。とはいえ、まだ2年目ですので、今年の反省も踏まえながらマイペースに続けて行こうと思っています。

 

第6回J-POPサミットフェスティバルの様子
第6回J-POPサミットフェスティバルの様子

―ではズバリ、今後の課題は?

数の限られている日本映画ファンだけではなく、ごく一般的なアメリカ人にいかに観に来てもらえるか。他に数えきれないほどのエンターテイメントがあるなかで、わざわざ馴染みの無い外国映画を観に足を運んでもらう、見に来てもらうのは、容易なことではありません。
サンフランシスコの観客は、それでも他のアメリカの都市に比べると外国映画への理解が深く、目が肥えているということはよく耳にしますが、それでも、ビジュアル的な説明がわかりやすくないとなかなか興味を持ってくれないですね。そんな中でも、土地柄なのか「食」に関する映画はハズレがないです。

 

―要はテーマの組み合わせ、わかりやすさですね。

そうなんです。例えば、今年の作品でいうと『武士の献立』(A Tale of Samurai Cooking)なんかは、サムライとグルメという、ある意味ハズれようのない、しかし意外な組み合わせでもあり、大変好評でした。また、やはり完売した園子温監督の『地獄でなぜ悪い』も、ヤクザと映画少年、というテーマの意外性とビジュアルの分かりやすさが人気で、会場はずっと爆笑の渦でした。
そうした、キャッチーさと意外性を兼ね備えたスイートスポットを見つけながら、いかにして足を運んでもらえるか仕掛けを考えていくのが命題です。

ただ、そういったマーケティング的な視点だけからではなく、『ペコロスの母に会いに行く』や「横道世之介」など、完売はしなかったものの、テーマ的には緩やかで、ビジュアル的には実際に見てみなければなかなか良さが伝わらない作品にも、一定のお客さんが来てくださることがわかりましたので、
あの映画祭の日本映画はハズレがないね、と言って頂けるよう、ユニバーサルなテーマを扱った良質な映画を、どんどん紹介していきたいですね。

 

―今年、アニメ映画に関してはどうでしたか?

アニメに関しては、その年のラインナップに大きく左右されますね。先ほど申し上げたように、昨年はエヴァなどの大作がありましたから。今年は大友克洋さんの監修された『SHORT PEACE』や、新海誠さんの『言の葉の庭』が一番人気がありましたね。やっぱりクリエイターのネームバリューは大きく影響します。
観客の年齢層は作品にもよるのですが、今年はよりオトナ向けというか、より文学的な感性の目立つ作品に人気が集まった印象です。

 

―もう来年への準備は始まっているのでしょうか?

今はまだフェスティバルが終わって一息ついているところです。これでようやくスタッフも夏休みに入れるので。ただ、来年に向けた新しいアイディアはすでにあります。
今年、田中光敏監督から「叶うハよし、叶いたがるハあしし」という利休の金言のような言葉を教えて頂いたので、頭の中ではもうすでに実現しているところを思い浮かべつつ、またゆっくり企画を考えて行きたいと思います。

―お話ありがとうございました。

 

 

第6回J-POPサミットフェスティバルの様子
第6回J-POPサミットフェスティバルの様子