「オール・ユー・ニード・イズ・キル」E・ストフ/プロデューサー 映画企画を語る

アーウィン・ストフ氏
アーウィン・ストフ氏

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』が、日本では7月4日に全国公開された。日本はもちろん、米国興収は約100億円、世界興収は約360億円と世界的な大ヒットになっている。
主演に人気俳優のトム・クルーズさんを起用、原作は日本の桜坂洋さんと話題性もたっぷり。

そんな本作がどの様に企画・製作されたのか、プロデューサーのアーウィン・ストフさんに、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の誕生について語っていただいた。

 

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
http://www.allyouneediskill.jp

■ どんなプロデューサーにとってもトム・クルーズは理想のキャステイング

―本作は、原作が日本の桜坂洋さんの小説であることでも話題を呼んでいます。ただ、映画企画がスタートした頃は、米国では必ずしも有名な作品ではなかったと思います。どういったきっかけで原作小説を知られたのでしょうか?

アーウィン・ストフ氏(以下E.S)
私の親しい友人に、ジェイソン・ホフがいます。VIZ Mediaという集英社と仕事をする会社で働いていて、その彼が「ちょっと見てくれ」と送ってくれたのが『All You Need Is Kill』の小説だったんだ。

―読んでみた感想はどうでしたか?

E.S
とてもファンタステックで印象的な作品だった。設定が信じられないくらい創造的で、さらにいくつもの興味深いアイディアが、とてもうまく組み合わせられていた。私はこれに、とてもイマジネーションを掻き立てられたんだ。

―その興味深い作品の企画・製作を進めるうえで、ダグ・ライマン監督を起用しようと思われたのはなぜでしょうか?ライマン監督は『Mr.& Mrs. スミス』や『ジャンパー』などのヒット作がありますね。

E.S
私はもともとそうしたダグの作品を大好きだったからね。彼はひとつのジャンルのなかで、キャラクターとドラマをとてもうまく描くことが出来る監督だ。

―キャスティングはどうですか。トム・クルーズの起用の決め手は何だったのでしょうか?

E.S
トム・クルーズは、どんなプロデューサーでもまず考える理想のキャストだよね。誰もが最初にトムを起用したいと考えて、企画を進めて、でもどこかで断念せざる得ない。ただ今回はとても珍しいケースになって、最初からトムでそれが最後まで続いたわけだ。

―ではリタ役のエミリー・ブラントについてはどうですか?

E.S
ある時、トムの家でダクも交えて打ち合わせをしていた。正直、誰が最初にエミリーの名前を挙げたか覚えていない。ただ、確実に言えるのは、エミリーの名前が挙がった後はもう議論する余地はなかった。彼女に決まりだ。
2日後には、今度はエミリーも交えてトムの家で再びミーティングをして、そのまま映画の製作は進んでいった。

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(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BMI)LIMITED
 

■ 戦いのモデルにノルマンディ上陸作戦

―原作とかなり違う部分で面白いのが映画の舞台です。ロンドンとフランス、パリも出てきます。これらが映画のなかで非常に魅力的に描かれているのですが、この選択はどのような理由ですか?

E.S
これは脚本家と一緒に考えたんだ。ジェス・バターワースとジョン・ヘンリー・バターワースだね。私たちは、真夜中にニューヨークのホテルで打ち合わせをしていた。その時に理由はよく覚えていないんだけれど、ふたりのおじいさんが参加したノルマンディ上陸作戦、Dデイのことを話していたんだ。彼らはイギリス人だからね。
その時、これをSF映画に持ち込んだらどうだろうと思いついた。そうすればリアルな世界と重なって、多くの人にアピール出来るのでないかと思えたからだ。エイリアンに侵攻されている世界、イギリス、ロンドンが最後の砦というわけだ。殲滅作戦は、ノルマンディ上陸作戦をなぞっている。
本当は何カ月もかけて考えたと言いたいところだけれど、アイディアは一瞬で生まれた。

―いまSFという話がでましたが、ストフさんはこれまで数々のSF映画を成功させてきました。SFが多くの映画で観客を惹きつけるのはなぜなのでしょうか?

E.S
(笑)ヒットさせる秘密があったら私が知りたいな。それが分かればどんな映画でも成功するチャンスはあるからね。
ただ私がSFと呼ばれているものが好きなのは、SFが実はジャンルでなく、どんな物語をも語ることが出来るより大きな枠組みだからだね。SF映画はあなたが望む全てのクリエイティブを実現すること可能だろう。それがひとつ。
もうひとつは、いまの映画の技術を用いれば、映像表現の可能性は限りがないことが理由だね。その技術を使って作り上げることがSFの世界につながる。ファンタスティックですごいエンタテインメントでもある。そこにはドラマやコメディ、アクションといった全ての要素を詰め込むことも出来るだろう。

E.S
いまでは映画はグローバルに広がっているので、世界市場を意識して製作する必要がある。その時に、どの国の17歳の少年を惹きつけることが出来るのがSFだと思っている。現在のおとぎ話こそSFと呼ばれているものだろう。

■ 映画の持つ普遍性の秘密

―いま世界という話がありました。原作は、日本という世界の中のひとつの地域から生まれました。その原作にあったユニバーサルな部分はどこなのでしょうか?

E.S
普遍性の秘密は、日本人が見れば日本っぽいと、イギリス人が見ればイギリスっぽいと、それぞれの国の人たち全てが感じることだろう。
例えばDデイを彷彿させれば、イギリス人やフランス人には身近だ。本作が日本人にとって親しみやすいのは当然ですよね。
それに加えて今回の主役のケイジは、人の命に対しては敬意を持つのに、自分の命に対してはあまりそうでもない。そんなところに普遍性を感じてもらえればいいなと思っている。

―日本のアニメやマンガ、小説を基にしたハリウッドでの映画企画は多いのですが、なかなか実現しません。今回それが実現した理由を教えていただけますか?

E.S
難しいね。幸運だったのかな。あるとすれば何人かのキーパーソンがこの作品をとても気に入ったからかな。スタジオ、ダク・ライマン監督、そしてトム・クルーズ…。一番の原動力となったのはトム・クルーズの熱意だね。

―最後に、読者へのメッセージをいただけますか。

E.S
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は、2時間のなかにとにかくエンタテイメントと楽しさがいっぱいに詰め込んであります。映画を観終わった後に、作品のことを考えて、語ってしまいたくなるはずです。是非、楽しんでください。

―ありがとうございました。

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