「アナと雪の女王」ヒットの秘密、「プレーンズ2」の挑戦 A・ミルスタイン氏に訊く(ディズニー・アニメーション・スタジオ副社長)

SONY DSC2014年、ディズニー・アニメーションの快進撃が続いている。2013年春に『シュガー・ラッシュ』が大ヒット、続いて2014年3月14日に全国公開した『アナと雪の女王』が日本歴代3位の興行成績となり、公開から4ヵ月、いまだに劇場を賑わせる。
そうしたなかでディズニートゥーン・スタジオ制作の『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』が7月19日に公開する。さらにディズニー・アニメーション・スタジオからは『ベイマックス』が12月20日に公開となる。今後も話題作が目白押しだ。

次々にヒット作を送り出すディズニーのアニメーション。今回、ディズニー・アニメーション・スタジオとディズニートゥーン・スタジオを統括するディズニー・アニメーション・スタジオ エグゼクティブ・バイス・プレジデント(副社長)のアンドリュー・ミルスタイン氏に、お話を伺った。ヒットの秘密、両スタジオが目指すものは一体何なのだろうか?

■ 『アナと雪の女王』ヒットの秘密

―日本は世界のなかでもユーニークな映画マーケットで、海外で大ヒットしたアニメーション映画が必ずしもヒットするわけではありません。そのなかでディズニー作品は日本でのヒットがとても多く、別格に見えます。日本でディズニーのアニメーションが愛される理由は何なのでしょうか。

―アンドリュー・ミルスタイン氏(以下A・M)
理由はたくさんありますが、ディズニーが日本で長い歴史があることもひとつだと思います。私たちは東京に拠点を構えて、日本のマーケットをよく理解しています。そして、日本のファンと十分コミュニケーションを取り、どんな映画が受け入れられ、なぜ受け入れられるかをいつも考えています。

―日本を離れても、海外でのディズニーのアニメーション作品の人気も別格です。現在はアニメーションの映像は技術的では大きな差がつきにくい時代です。ディズニーの作品がとりわけ多くの人の心に響くのは、何が可能にしているのでしょうか?

A・M
ディズニーはアニメーション映画を作ることについて本当に長い歴史と経験を持っています。何世代にも受け継がれてきたものがスタジオの強みです。それが特別なものを生み出しているのです。

―なかでも2013年から14年にかけては、『アナと雪の女王』が世界的な大ヒットになりました。大ヒットの秘密は何ですか?

A・M
なんといってもストーリー、主人公たちの普遍性です。姉妹の家族愛や姉妹の葛藤や問題は、世界中のどんな人をも心を動かします。

―こうした大ヒットは当初から予想されていましたか?

A・M
ヒットになれば良いなともちろん思っていましたが、どのくらいヒットするかは計画してできるものではありません。とにかく自分たちは最高の作品を作るんだという意気込みでどの作品も挑んでいきます。
このように素晴らしい成功を手に入れることができたのは本当に嬉しいですし、世界中のみなさんがこの作品を愛してくださって光栄です。

■ 『プレーンズ2』を制作するディズニートゥーン・スタジオとは?

―ミルスタインさんは、ディズニー・アニメーション・スタジオとディズニートゥーン・スタジオのふたつを統括されています。7月19日にはトゥーン・スタジオから『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』が日本公開となりますが、トゥーン・スタジオの役割は日本のファンにはまだよく知られていないかもしれません。トゥーン・スタジオの狙いについて教えていただいてもよろしいでしょうか

A・M
ディズニーはいまピクサーとディズニー、それにトゥーン・スタジオの3つのスタジオを持っています。これ以外にテレビアニメーションのスタジオもあります。
トゥーン・スタジオは一番新しいスタジオで、シリーズものに重点を置いています。『プレーンズ』だけでなく、『フェアリーズ』という人気シリーズもあります。ディズニーの持っている様々なキャラクター、シリーズをその世界観の中で新たな作品として創り上げていくのが目的です。

―トゥーン・スタジオは、割に早いペースで制作するということでしょうか?

A・M
ストーリーを作り、キャラクターを創作するのはやはり大変な作業ですよね。映画を作るのは、大変ですから、必ずしもそう早いペースで作れるわけではありません。

―『プレーンズ2』で日本のマーケットに向けて意識したものはありますか?

A・M
日本の映画市場が他の国と違うと思うのは、映画を宣伝していく際にテーマを明確に打ち出すことが重要なことです。エモーショナルな部分を押し出すのが特徴的だと思います。その結果が『アナと雪の女王』の成功です。観たいと思わせる宣伝をしてくれました。
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』でも観たいと思わせるような、観客への感情の訴えがけをしています。

■ ディズニー、アニメーションスタジオの運営

―先ほどディズニーの長い歴史について触れられました。この積み重ねがディズニーに多くの才能を集めるのだと思います。しかし、そうしたクリエイター、アーティストをうまくマネジメントすることは必ずしも楽でないようにも思えます。経営者として、アーティストのクリエイティブを最大限に引き出す秘訣はどういったことですか?

A・M
一番大切なのは、彼らをリスペクトしていることだと思います。そして、彼らの才能が存分に発揮できる環境を整えることが大切です。

―ミルスタインさんは、現場からアイデアが上がるような仕組みをスタジオに持ち込んだとのことですが。これにはどんな狙いがあったのですか? 

A・M
誰もが自由に意見をいえる、オープンで健全、エネルギッシュなスタジオにしたいという思いがありました。ひとりひとりのアニメーターが、情熱やスキルを作品に注ぎ込める環境を作りたいと思いました。
組織全体が仕事をしやすい環境をつくる、それが素晴らしい作品につながると信じています。それが『アナと雪の女王』にもつながっていると思います。

―ディズニーは豊かな伝統を持つのですが、例えばプリンセスストーリーのように、今後も伝統を活かした作品を目指すのでしょうか?

A・M
そうではありません。ディズニーの伝統はむしろイノベーションです。イノベーションをむしろ大切に考えています。これまでの遺産をベースに新しいものを作っていくことを目指しています。

―新しいものを作る時に、今後海外の才能を取り入れていくことは考えられているのでしょうか?例えば、海外にスタジオを作るようなことは考えておられますか。

A・M
ディズニーはかつては、国内ではオーランド、海外ではカナダやオーストラリア、日本にスタジオを持っていました。ただ、それは私たちにとっては大き過ぎたと思っています。
私たちは、優れた才能を一箇所に集めたいと考えています。それがカリフォルニア州のバーバンクです。ここに多くの才能が集結し、それがクリエイティブを生み出すはずです。

―逆に言えば、バーバンクのスタジオで日本のアーティストが今後もっと多く働く可能性はありますか?

A・M
勿論です。多様性は重要です。世界中の都市から才能が集まることを望んでいます。

『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』
7月19日(土)ロードショー
http://Disney.jp/planes2