ラスベガスに進出したアニメイベント 第1回オタコンベガス大会リポート PART1

29782BY ロミ

2013年の夏に20回目を迎えたアメリカ東海岸ボルチモア開催のアニメと漫画のコンベンションOTAKON(以下、オタコン)に引き続き西海岸のラスベガスでもOTAKON VEGAS(以下、オタコンベガス)が2014年1月3~5日の日程で開催された。
(参照記事:オタコン2013 米国・ボルチモアリポートhttp://animeanime.jp/article/2013/08/26/15322.html

昨年のボルチモアでのオタコンは筆者にとっては初参加であったが、ラスベガスでのオタコンベガスはスタッフや来場者、誰にとっても初めての経験ーそれは今年が第1回大会だからである。

■ エンターテインメントの街、ラスベガス

カジノやネオンライトなど、日本人が描くラスベガス像はギャンブルの街、という印象だが、実はアメリカでは必ずしもそうではない。90年代くらいから、エンターテインメントの一大拠点としての地位を築き上げてきており、実はロサンゼルス、ニューヨークなどと並び、アミューズメントやショーなどを目的に訪れる観光地でもあるのだ。日本でも人気のあるアクロバット・パフォーマンス集団のシルク・ドゥ・ソレイユもここでしか観ることのできない8種類のショーを行っているのが何よりの証拠だ。

さらにオタコンべガスの開催後(1月7~10日)にはインターナショナルCESという全米最大規模の電化製品見本市が開催され、今年のCESではSONY社長が基調講演を行ったように、実はラスベガスはコンベンション開催地としても知られている場所でもある。
ビジネスでラスベガスまで来て、仕事の後の週末はカジノやエンターテイメントでお金を落としていく、という構図がすでにできあがっている。

といっても、ラスベガスで開催のアニメコンベンションは筆者も今年が初めての参加。初回ということもあり、大会側の来場者の見込みは2千人前後。大会運営側としては、本家ボルチモアのオタコンと比べてゆったりした初回大会を想定していた。
ちなみにオタコンベガスの他にもラスベガスではANIME VEGASという小規模の大会が毎年開催されているそうなので、ラスベガスで初めて開催される日本のアニメと漫画に特化したコンベンション、という訳ではない。(実は帰国後に知ったことだが、ラスベガスでは毎秋コスプレイベントなども開催されており、普通のアメリカの都市と何ら変わらないようだった。逆に街全体がエンターテイメントに特化しているため、他の都市では浮いてしまうような内容でも、ベガスでは違和感なく日常の風景に見える、といった具合。)

大会会場はプラネットハリウッドという、ラスベガスのストリップ(大通り)にあるリゾートホテル。ホテルのランキングとしては標準タイプとのことだが、目の前が映画「オーシャンズ11」にも登場しているベラジオということもあり、最高の立地とも言える。実際にホテルの部屋の窓からベラジオの噴水がよく見える部屋もある。

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■ 初年の実績

結論からいうと、初年としてオタコンベガスは成功に終わった――大会側の発表によると、来場者数は2006人。(これは実数であり、延べ数ではない。)本家ボルチモアのオタコンが2千人を越えるのに5年かかったことを考えれば、滑り出しとしてはまずまずと言える。
プラネットハリウッドとは2年契約なので、すでに来年の第2回大会の開催も確定している。ただし、次回は1月中旬の1月16~18日。ニューイヤーは別として、1月はベガスにとって観光客が一番少ない閑散期となるそう。コンベンションはまとまった客数が期待できるため、ホテル側も歓迎しているようだ。

開会式での大会チェアマンTerry Chu氏の挨拶によると、オタコンべガスは2年がかりで企画した大会であり、オタコンの原点回帰というコンセプトの元に立ち上げたコンベンションだという。本家イベントが大会開催20回を数えても初心を忘れないように、といったところか。
ベテランスタッフによると、オタコンが初めて開催された時の雰囲気と良く似ているそうだ。(筆者も始まったばかりのアニメエキスポを経験しているが、似ていると感じた。)ディーラーズルームもホテルの宴会場一室に収まるくらいにコンパクトだ。

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企画段階で決めたことは、テリー氏いわく「ひとつのホテル内に収まりきる規模にしよう。」ということ。無論、それだけではすまないのがオタコンの運営陣である非営利団体オタコープ(Otakorp)。最終的には「ただし、そのホテルはラスベガスのストリップ(大通り)沿いのホテルであること!」と決議したそうだ。

今回の日本人ゲストは4名。本家オタコンと比べると数は少ないが、豪華な顔ぶれとなっている。
アニメ監督・演出家の安藤真裕さん(『ストレンヂア 無皇刃譚』『CANAAN』『花咲くいろは』『絶園のテンペスト』など)、漫画原作者の稲垣理一郎さん(『アイシールド21』『αケンタウリ動物園』など)、小説家で漫画家・和月伸宏夫人の黒碕薫さん(『るろうに剣心 銀幕草紙変』、ストーリー協力:『武装錬金』『エンバーミング』)そして唯一の音楽ゲストである佐咲紗花さん(第3回全日本アニソングランプリ受賞者。『戦う司書 The Book of Bantorra』第2期OP主題歌『星彩のRipieno』でデビュー。)

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ちなみに本家オタコンは「マザー・オタコン」あるいは「オタコン・プライム」と呼ばれているらしい。
本家オタコンの運営陣が多く関与しているためか、初年にありがちな大きな混乱もさしてはなかった。来場者数が多くなればなるほど、問題も比例して拡大されていくので、そうした意味でも2千人規模というのはちょうど良かったに違いない。

ただ、そうした手堅い布陣でも、問題がなかったわけではない。年末から年始にかけてアメリカ各地を猛烈な寒波が襲ったため、空港やフライトが次々に遅延やキャンセル・閉鎖となり、交通機関が完全に麻痺していた。(この混乱は大会後の帰国日以降も続いていた。)コンベンション会場にたどり着けなかったスタッフや客もいたようだ。
コンベンションでは来場者は入場バッジがないと会場へ入れないのだが、その入場バッジ自体がフライトの遅延などにより会場に届いておらず、配布ができないというトラブルが生じていたようだ。が、こればかりは東海岸から遠征していきている大会側にとっては不可抗力といえよう。

一方初めての開催にしては、ラスベガスという場所柄か、とても華やかな訪問客もあったようだ。マスカレードというコスプレ大会は、本家オタコンもそうだが、シルク・ドゥ・ソレイユのコスチュームデザイナーが取り仕切っており、大会期間中はアニメファンのシルクキャストも訪れていた。
そして大会ゲストの一部はシルクのバックヤードツアーに招かれる、というめったにない幸運な機会にも恵まれた。さらにアメリカで有名なTVセレブもお忍びで来ていたらしい、との情報もある。

とにかく大会開催期間の3日間、会場は始終アットホームな雰囲気。巨大イベントとなってしまった本家オタコンでは、イベントが終わり次のイベント会場への場所移動だけでも距離があったりするので時間がかかるが、オタコンベガスではすべてがホテル内のワンフロアに収まりきっているため、移動による負担はほとんどなかった。
ディーラーズルームに向かって人が殺到することもなければ、暑い中(実際冬のべガスは寒いのだが)屋外に長時間長蛇の列に並んで入場バッジを手に入れる必要もなく、来場者にとってもこうしたストレスなく和めるイベントはありがたいはずだ。