[アニメビジネス10大ニュースの解説] (2) 動画配信サービス:米国、中国、日本

■ 海外向けアニメ配信会社DAISUKIサービス開始
■ クランチロールがメディア投資企業チャーニン・グループ傘下に
■ アマゾンが国内映像配信サービス「インスタント・ビデオ」スタート

海外市場では、日本アニメ関連のビジネスの様相がここ数年で様変わりした。Blu-rayやDVDでのビジネスは縮小が続き、テレビ放送枠の確保は多くの作品にとって、依然ハードルが高い。
一方で、2000年代後半に始まったインターネットを使った海外での動画配信が、急激に存在感を増している。PCだけでなく、スマートフォン、タブレット、IPTV、さらにゲームコンソールを通じて視聴が可能になるなど、デバイスの多様化が視聴ユーザーを拡大している。

2013年3月には、海外向け動画配信サイトのクランチロールが有料会員の20万人突破を発表した。同社によれば有料会員数はその後も右肩上がりだという。また、無料の登録会員は1000万人を突破している。
クランチロールの好調もあり、国内アニメ関連有力7社(アニプレックス、サンライズ、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、日本アドシステムズ、電通、アサツー ディ・ケイ)が共同出資する海外向けのアニメ動画配信サイト運営のDAISUKI株式会社を設立、2013年にサービスを開始した。日本企業が直接、海外配信に取り組むとして、今後さらにビジネスを拡大する方向だ。
対するクランチロールは、スペイン語、ポルトガル語に続き、フランス語のサービスを開始、さらに10月には、マンガの配信もスタートした。さらに関係者に驚きを与えたのは、同社が11月に米国の大手メディア投資企業のチャーニン・グループの傘下に入ったことである。強力なバックを得ることで、さらなるビジネス展開を目指すことになる。

海外配信は、これまで欧米の状況が注目されがちだった。しかし、2013年は中国での日本アニメの配信が大きく進展した。2011年から中国の土豆網に正規配信のライセンスを提供するテレビ東京は、2013年11月にそれを土豆網のグループ企業優酷網にも広げた。これでユーザーへのリーチは一挙に3倍に広がる。『NARUTO』や『銀魂』などの人気作品も多く、アクセスは好調が伝えられている。
また、百度傘下の動画サイト愛奇芸は、日本の有力企業バンダイナムコグループ、講談社、ADK、東映アニメーションなどと正規に配信契約を結ぶ。違法配信が多いとされてきた中国にも配信ビジネスの波が広がっている。とりわけ中国では、日本アニメのテレビ放送は事実上禁止、映画公開も大幅な制限があるだけに、配信ビジネスは今後さらに重要になるだろう。

一方、日本では、アニメのテレビ放送枠や劇場公開が多く、映像ソフトの販売も大きく落ち込んでいない。海外とは状況は大きく異なる。それでもいまや新作テレビアニメの配信はスタンダードとなり、その利用は着実に広がっている。
国内の配信サービスでは、GyaOやニコニコ動画、バンダイチャンネル、東映アニメBBプレミアムなどが大きな存在感を持っている。これに対して、2012年に米国からHuluが進出、2013年11月にはさらに大手ネットショップのアマゾンが日本向けに動画配信サービス「Amazonインスタント・ビデオ」をスタートした。
Amazonインスタント・ビデオは、当初から1万5000作品を揃えるタイトルの充実ぶりで注目されている。アニメ作品も多い。今後、日本勢と外資系サービスが入り乱れ、動画配信のトレンドがどこに向かうか注目される。
[数土直志]