国立国会図書館が「クールジャパン」の定義と「クールジャパン戦略」を解説

国立国会図書館が発行する「調査と情報-Issue Brief-」の10月18日号(804号)が、「クールジャパン戦略の概要と論点」としてクールジャパン戦略について取り上げている。この解説が現在のクールジャパン戦略を的確に解説にしており、問題点、課題の提示が非常に興味深いものとなっている。
「調査と情報-Issue Brief-」は、2003年以来、国立国会図書館が刊行するものだ。週におよそ一度、国政上の課題について簡潔な解説をする。およそ10ページ程度で読みやすい。

クールジャパン戦略は、近年、国政の中で言及されることが増え、また財政支出も増えている。まさに重要な政策課題のひとつに浮上している。
しかし、注目が増す一方で、クールジャパンとはそもそも何なのかの定義は曖昧だ。またクールジャパン戦略の概念や目標も、それぞれの立場によって異なり、拡散しがちだ。そうした点で、こうした解説はまさに時代のニーズを捉えたものである。

とはいえ、やや混乱気味な「クールジャパン」だけに、このなかでも断定的な結論はだしていない。“「クールジャパン」には明確な定義がなく、単に、海外で「クール(格好いい、素敵な)」と思われる日本の商品やサービスの総称とされる”は、現在、考えられる最も適切な説明と言えるだろう。
また、「漫画、映画、放送、音楽、ゲーム等のコンテンツ産業を指すことが多かったが、近年では、食、ファッション、地域産品、観光などの産業まで広がっている」との指摘も確かだ。「クールジャパン戦略」については、海外からクールと評される日本の製品やサービスを世界に提供することで日本経済の成長や雇用創出につなげようとする試みとの定義も分かりやすい。

また、クールジャパン戦略の過去の動向を理解するのにも便利だ。2000年代初頭から現在まで、時の政策と合わせて、クールジャパン戦略の流れの変化を解説する。さらに産業面への波及についても言及する。
クールジャパン戦略をめぐる論点の項は、解説というよりも著者の考えがより強く表れていて興味深い。ここではクールジャパン戦略の論点を「ターゲティング・ポリシー」、「リスクマネーの供給手段」、「ニッチ市場からの脱却」、「知的財産権の保護」だとする。細かい議論は実際に読んで理解するのが一番だが、混乱しがちな戦略をうまく切り分けている。

そして、最後では、コンテンツ産業の振興やクールジャパンの推進は2000年代から相次いで提言や政策がなされているが、これまでの成果が乏しいと指摘する。
そのうえでクールジャパンの定義や産業の範囲を明確にすること、信頼性の高い統計を整備することが必要だとする。それが戦略の政策効果の見極めや、課題に冷静に対処していくことにつながるというわけだ。決して長い論考でないだけに、クールジャパンに関心のある人にはお薦めだ。
[数土直志]

『調査と情報-Issue Brief-』
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/index.html