米国の日本マンガ翻訳出版 VIZ Mediaが10月からデジタル版値上げ、1冊6.99ドル

米国最大の日本マンガの翻訳出版社VIZ Mediaが、10月1日よりデジタル配信向けのマンガ作品の価格を値上げした。これまでは単行本1冊分の標準価格は4.99ドルだったが、これを6.99ドルに引き上げた。
VIZ Mediaは価格改定について難しい決断だったとユーザーに説明している。そして、その理由をデジタルマンガサービスのコストを合わせるためとする。
一方で、これまで1冊9.99ドルとしていた紙出版の標準価格は、そのままとした。今回の価格改定で、紙出版の半額であったデジタル版が、紙出版の7割程度になった。紙とデジタルの価格差を一気に縮小したかたちだ。

VIZ Mediaの価格だけを取ると、デジタル版の突然の大幅値上げに映る。しかし、もともとVIZ Mediaのデジタル版は、アメリカンコミックスに比べて低めに価格設定されていた。
例えば、米国のアマゾンドットコムでは、グラフィックノベルと呼ばれるアメコミの単行本はハードカバーとKindle向けのデジタル版はほぼ同じ価格になっていることが多い。これらは10ドルから20ドルが中心価格帯となっている。また、リーフと呼ばれる30ページ程度の冊子は3ドルから4ドル程度だが、アメリカンコミックスのデジタル配信大手comiXologyでは、これを紙版と同価格を原則として販売している。
マンガでは日本マンガ翻訳作品の有力出版社のひとつYenPressが、デジタル版を紙版の7割程度に設定する。VIZ Mediaは、この水準に価格を合わせてきたかたちだ。

紙とデジタルの価格設定には、デジタル版であっても、作者や翻訳者に対する原稿料、編集やデジタル作成のコストを考えた場合、紙版から劇的に安くなるわけでないとの理由がある。もちろん印刷コストや流通コスト、在庫リスクは減らせるが、替わって急激なデジタル化の進展に対する開発投資が無視できない規模になる。「作品を所有し、楽しむ点では大きな差はない、デジタル版の価格も紙版に準じる」との考えが、アメリカンコミックスでは主流とみられる。
マンガ作品のデジタル版の価格が当初低めに抑えられたのは、インターネットに氾濫する海賊版への対抗や、新サービスのプロモーションも大きな理由だったとみられる。そうではあっても、大幅な値上げは、ユーザーからの反発は避けられない。VIZ Mediaがこの時期に価格改定に踏み切ったのは、デジタル配信が紙出版の補完的なビジネスでなく、むしろメインビジネスのひとつになったとの判断がありそうだ。プロモーションとしてでなく、確立したマーケットとして読者もついてくるとデジタルビジネスに自信を深めていると言えそうだ。

VIZ Media 
http://www.viz.com/