頭角を現す南アフリカ、成長するラテンアメリカ:アヌシー国際アニメーション・フェスティバル 2013年レポート 第2回:伊藤裕美 

 

MIFAマーケット入口
MIFAマーケット入口

第37回アヌシー国際アニメーション・フェスティバル、Annecy 2013

カナダから新アートディレクターを迎え、地球規模で拡大するアニメーション映画祭
自信強める、ヨーロッパのアニメーション

取材・文: 伊藤裕美(オフィスH)

 

■ 頭角を現す南アフリカ、成長するラテンアメリカ

25年目となるMIFAマーケットは、出展数454、参加バイヤー340名という規模もさることながら、ヨーロッパ、米国、カナダ、ラテンアメリカ、オーストリア、アジア諸国・諸地域からの参加、さらに中東とアフリカの諸国が増えている。とりわけアフリカは市場としても、制作地としても注目される。

長編アニメーション部門にノミネートされた、3D立体視映画『Khumba(邦訳 クンバ)』は、南アフリカのケープタウンにあるTriggerfish Animation Studios(トリガーフィッシュ・アニメーション・スタジオズ)が製作した。同スタジオは1996年にストップモーション・アニメーションのスタジオとして設立され、コマーシャルのアニメーション制作を主としてきたが、06年に3D立体視映画の長編『Adventures in Zambezia』の制作を決め、2年後に制作に着手、12年に公開した。
『クンバ』は同スタジオの長編2作目。縞模様が体の半分しかないシマウマが、欠けたゼブラ模様を手に入れるために旅に出る。途中、水不足の島の動物たちを救おうと、仲間と共に凶暴なヒョウに立ち向かう、子ども向けのアドベンチャー。本作を監督したアンソニー・シルヴァーストーン氏は、エミー賞の国際審査員を務めるなど、南アフリカを代表するアニメーション監督であり、脚本家だ。制作費2000万米ドルに満たない3DCGは世界レベルのクオリティだ。

窪岡俊之監督の『ベルセルク黄金時代篇II ドルドレイ攻略』を押さえ、長編部門の最優秀賞クリスタルに輝いたのは、ブラジルの『Rio 2096: A Story of Love and Fury(邦訳:リオ2096年:愛と激怒の物語)』だ。監督と脚本は、製作したBuriti Filmes(ブリチ・フィルムス)の共同創立者で、脚本家のルイーズ・ボログネジ氏。愛する女性と彼女の生まれ変わりを求めて、600年の時を越えて生き続ける戦士を主人公に、ブラジルの歴史と将来をつなぐ壮大な物語は、2002年からリサーチを始め、04年のシナリオ完成後、制作に6年を要した。
Buriti Filmes(ブリチ・フィルムス)と共同製作したGullane Filmes(グラニ・フィルムス)は、テレビから劇場公開作まで手掛ける、ブラジルを代表する映像制作会社だ。
日本でブラジルのアニメーションが語られる機会は少ない。ポルトガル語を公用語とし、ヨーロッパ、特にラテン語文化圏とつながりが強いだけでなく、カナダ国立映画制作庁が1980年代にブラジル人を対象にアニメーションのマスターコースを実施し、その研修を受けたアニメーターが同国最大規模のアニメーション国際フェスティバルAnima Mundi(アニマ・ムンディ)を93年に始めた。欧米流のアニメーション技法に長けたアニメーターがテレビの番組やコマーシャルといった商業分野で活躍している。

Triggerfish Animation Studios(トリガーフィッシュ・アニメーション・スタジオズ)
http://www.triggerfishstudios.com/en/ 
Buriti Filmes(ブリチ・フィルムス)
http://www.buritifilmes.com.br/ 
Gullane Filmes(グラニ・フィルムス)
http://www.gullane.com/