海外のコンベンション参加人数増加は、アニメ・マンガ人気のバロメーターか? 第3回 コンベンションの変化

AnimeExpo2013の会場。非日本産コンテンツも人気だ。
AnimeExpo2013の会場。非日本産コンテンツも人気だ。

文化輸出品としてのマンガ-北米のマンガ事情 第19回-3
海外のコンベンション参加人数増加は、アニメ・マンガ人気のバロメーターか?

椎名 ゆかり

 

■ コンベンションの変化

日本アニメやマンガをテーマとしたコンベンションの近年の大きな傾向のひとつとして、非日本産の作品のコスプレイヤーの増加があることをご存じだろうか。

今年の「Anime Expo」では『進撃の巨人』のコスプレイヤーが目立っていたと話題となっていたが、ここ数年ネット上で海外のファンやブロガーが、日本アニメやマンガのコンベンションでの非日本産作品のコスプレイヤーの多さについて言及するのをしばしば目にしてきた。
前述したディブ・アオキ氏に、「Anime Expo」における、日本産と非日本産作品のコスプレイヤーの割合について個人的にメールで尋ねた際、アオキ氏は全体を100とすると45対55の割合で非日本産が多いと答えてくれたが、これがもっと小規模のコンベンションになると非日本産の割合がぐっと上がると言う。

これはあくまでアオキ氏の受けた個人的な印象であって、統計的根拠は無い。ただ複数の知人に尋ねたところ、日本のアニメやマンガのコスプレイヤーの数はもう少し多いという人もいる一方で、同様の印象を持つ人もいた。「Anime Expo」より小規模のコンベンションになると、更にアメリカの作品の存在感が増すという印象は、尋ねた知人全員に共通した意見であった。

ただし、強調しておくとコスプレイヤーの数は作品の人気とは必ずしもきれいに比例しない。日本作品のコスプレイヤー数の低下が仮に事実であっても、それが日本アニメやマンガの人気低下を示すと考えるのは、コンベンションの参加人数増加と人気をイコールで結ぶのと同様に危険である。

しかし、アニメやマンガのコンベンションにおける非日本産作品の存在感の増加は、コスプレに留まらないようだ。ファンの集まる掲示板で日本アニメやマンガのコンベンションでの非日本産作品の扱いの是非が議論となることも増え、その他例えば、大手コンベンションのプログラミング・ディレクターがインタビューに答えて、コンベンションで日本産以外の作品を扱うことへの要望の高まりに対する苦慮(第15回「北米で日本マンガは今でも人気なのか」参照)を述べている。

更に「Anime Expo」のプログラムを見ると、2007年のプログラムでは日本的絵柄のアメリカ産MANGAやゲームを扱う英番組などのパネルは少数あっても、ANIMEやMANGAとは呼ばれることはほぼ無いと思われるアメリカ産プロパティを扱ったワークショップやトークセッションは無かった。
しかし2012年、2013年には、アメリカ産のプロパティそのものを扱ったパネルがいくつか見られる。ちなみに「Anime Expo」の運営団体は「日本アニメーション振興会(Society for the Promotion of Japanese Animation)という、日本のアニメ・マンガやその関連領域の振興をその使命としたNPOある。加えて、ネットで日本アニメやマンガファンの動向を見ていると、日本のアニメやマンガを好む人が好きになるタイプのアメリカ産の作品があるらしく、ファンの間でもいくつかの特定の作品を巡って盛り上がっている様子がうかがえる。

筆者はここで、非日本産作品の扱いの増加が相対的に日本アニメ・マンガ人気の低下を示している、と言いたいわけではない。むしろ指摘したいのは、北米における日本アニメやマンガのコンベンション自体の変容であり、ひいてはそれが示唆する北米におけるANIMEやMANGAの受容の変化である。

とは言え、日本アニメやマンガをテーマとしたコンベンションで起こっている様々な変化を見ようとせずに、参加人数だけを取り上げて「日本アニメやマンガはまだ人気がある」と考えてしまうことには問題があると考えている。そして北米におけるアニメやマンガについて語ろうとするならば現地で起こっている変化に鈍感であってはならないと(自戒を込めて)思っている。

それでは、ここで見てとれる変化とはどういうものなのか、見てみよう。