米ADV BitTorrentでの広告拡大へ

米国最大の日本アニメの流通業者であるADVはインターネット上のファイル交換ソフトであるBitTorrentを利用した作品プロモーションの拡大に動いている。今年7月に『マドラックス』のプロモーション映像が配信したのに続いて、『ギルガメッシュ』と『ゴーダンナー』のプロモーション映像をBitTorrentにより配信する。
BitTorrentはファンサブと呼ばれる違法ファイル交換に主に用いられているソフトである。なぜ、違法配信で頻繁に利用されているBit torrentの技術を用いるかについてADVの見解は明快である。多くのファンが既にそのソフトを持って利用している以上、これが最も効率的な宣伝方法であるためだからだとニューヨークタイムズのインタビューに答えている。

ADVの判断は、建前より実効性を重視した合理的なものと言えるだろう。Bit torrentは単なるソフトに過ぎずそれ自体は違法な存在ではない。むしろ、ネット上に氾濫する違法配信に対抗するには、同じ土俵でより優れたクオリティーのものを提供し収益化して行くことがひとつの考えである。
例えば、プロモーション映像だけでなくアニメ作品自体も既に存在するBit torrentを利用すれば作品販売のための導入コストが下がり、一作品当たりの採算分岐点は大きく引き下げることが可能になる。これまで、採算ベースに合わなく米国での公開が出来なかった作品の公開も可能になる。そうすることで、英語翻訳されてない作品を米国市場に普及させる役割を担っているとするファンサブにも対抗出来るはずである。

インターネットを通じたアニメ作品の提供に、Bit torrentのシステムが必ずしも優れているかどうかは今の時点では判断出来ない。そこには、セキュリティーや著作権の問題をどう解決するかといった視点も必要になるからだ。
しかし、アニメ作品のインターネット配信ビジネスが、今後、劇場公開、TV放映、DVD販売、レンタルに並ぶ収益源になる時が、日米問わず遅かれ早かれやって来るに違いない。そうした時に備えて単なるインターネットでの放映ではなく、インターネットを通じた作品の販売を行う方法も検討されなければいけないだろう。