総務省、「コンテンツ海外展開協議会」報告書公表 手法の多様化など指摘

総務省は、2012年3月より開催されているコンテンツ海外展開協議会の報告書をとりまとめ、このほど一般公開を行った。コンテンツ海外展開協議会は、2011年に公表された「デジタルコンテンツ創富力の強化に向けた懇談会」の中間とりまとめを受けて設立された。主に、アニメ、テレビドラマ、ドキュメンタリーの分野を中心に海外展開における課題を探り、その方策を提示するものだ。
協議会は20人余りで構成、オブザーバーとして総務省、外務省、経済産業省、文化庁、観光庁、官邸国際広報室、内閣官房国家戦略室も参加する。アニメの分野からも、東映アニメーションの大山秀徳さん、テレビ東京アニメ局長川崎由紀夫さん、NPO法人映像産業振興機構理事長・手塚プロダクション代表取締役社長松谷孝征さんらが出席している。このほか放送、商社、広告代理店など映像コンテンツ事業に関わりの深い代表で構成され、産学官、そして業界を越えた議論が特徴だ。

今回の報告書は、コンテンツ海外展開協議会の議論を踏まえ、三菱総合研究所がとりまとめた。報告書は大きく分けて2部構成になっている。第2章の現状と課題、第3章の海外展開促進にむけた具体的方策である。

現状と課題は手際よくまとめられている。海外に向けた発信チャンネルの不足や、インターネットでの対応、ローカライズ、権利処理や違法コンテンツ、さらに国際見本市でのプレゼンスの低下から人材育成まで幅広い問題・課題を抽出している。アニメについては、特に、違法コンテンツの流通、地上波放送枠の減少、DVD市場の縮小が課題に挙げられている。
また、コンテンツの海外展開の手法が、従来の完成品の販売からフォーマット販売、リメイク化権、共同製作など多様化しているとの指摘は重要だ。それはこれまでと異なる施策が必要であることの理由を示すからである。

一方で、具体的方策については、やや物足りなさもある。方策としては、海外発信チャンネルの確保やローカライズ支援、国際イベントでの共同出展、他産業との連携、違法コンテンツ対策と正規配信の推進が掲げられている。しかし、なかには「~すべき」というものも多く、具体的な取り組みの道筋が見えない努力目標的な内容になっている。
報告書ということもあり、なかなかそうした中に踏み込めないという事情は理解できる。しかし、調査や問題指摘はかなり十分行われている一方で、具体的な行動、結果に結びつかないと指摘されることが増えてる近年のコンテンツの海外展開政策の一端も表れているように感じられる。
[数土直志]

「コンテンツ海外展開協議会」報告書の公表(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000019.html