北米のマンガ事情第13回 MANGAの描き方を学ぶ アメリカでの需要 PART1

文化輸出品としてのマンガ-北米のマンガ事情
第13回
MANGAの描き方を学ぶことに対するアメリカでの需要について PART1

椎名 ゆかり
アメリカの大学院でポピュラー・カルチャーを学び帰国後、マンガを専門とする出版エージェント業やアニメ、マンガ関連の翻訳者他、海外マンガを紹介する様々な仕事を行ってきた。現在は文化庁のメディア芸術を推進する部署で研究補佐員として勤務中。
翻訳マンガ:『ファン・ホーム』『メガトーキョー』他
ブログ:「英語で!アニメ・マンガ」 http://d.hatena.ne.jp/ceena/

先月の6月29日(金)から7月2日(月)まで、アメリカのカリフォルニアにあるロスアンジェルス・コンベンション・センターで、日本のアニメ・マンガをテーマとしたイベント「アニメ・エキスポ」が開かれていた。
今回のコラムではその「アニメ・エキスポ」内で筆者が主催者のひとりとして行った「マンガの描き方」ワークショップについて簡単にご報告させていただき、マンガの描き方を学ぶことに対するアメリカでの需要について考えてみたい。

■ 「アニメ・エキスポ」とは

上にも書いたように、「アニメ・エキスポ」は日本のアニメ・マンガのファンが集まるコンベンションである。その種のイベントとしてはアメリカで最大規模を誇り、主催するのはファンによって組織されるNPO団体「Society for the Promotion of Japanese Animation (SPJA 日本アニメ振興協会)」。運営も同団体によって行われている。

アニメやマンガファンの集まるイベントというと日本の同人誌即売会「コミケット」を思い起こされる方も多いと思うが、「アニメ・エキスポ」にはアーティストがブースを出す「Artist Alley」と呼ばれるスペースが一部あるものの、メインはフロアに広がる企業ブースや物販ブースや、会場内のいくつもの部屋で行われるパネルやコンサートなどである。つまり「コミケット」と言うより「東京国際アニメフェア」などを想像してもらったほうが「アニメ・エキスポ」の雰囲気がわかると思う。

1992年に始まった「アニメ・エキスポ」も今年21回目を迎え、毎年その入場者数を増やしている。残念ながら今年の入場者数はまだ出ていないが、去年は入場券の売上だけで4万7千枚を超え、参加延べ人数13万人弱だった。ちなみに2012年「東京国際アニメフェア」の来場者数は4日間合計延べ10万人弱、今年から始まった「アニメ・コンテンツ・エキスポ」は2日間でチケット販売数4万枚強。
アメリカと日本を単純に比較することに意味はないが、「アニメ・エキスポ」のある程度の盛り上がりは想像できると思う。5年ぶりに参加した「アニメ・エキスポ」はフロアやパネルの盛況ぶりなどの見る限り、今年も大変盛り上がっていた。

筆者自身は運営したワークショップの準備その他で忙しく、コンベンションを十分に見る時間はなかったのだが、「アニメ・エキスポ」で今年話題だったイベントについて思いつくままに簡単に挙げてみると、アメリカでもファンの多いアニメ『Fate/Zero』チーム(制作会社ufotableの近藤光代表取締役、あおきえい監督、声優・小山力也氏、アニプレックスの岩上敦宏プロデューサー)のパネル、LiSAによる『Fate/Zero』主題歌コンサート、『青の祓魔師』主人公役声優の岡本信彦氏の参加パネル、そして初音ミクのパネルなどが多くの観客を集めていた。

その他、例年通りマンガ出版社やアニメのディストリビューターがブースを出したりパネルを開いて、新しくライセンスを取得した作品の発表を行ったりしたが、中でもアメリカのマンガファンの注目を集めたパネルをひとつ紹介しておこう。
それは、ほぼ1年前にアメリカでのマンガ出版事業から撤退したTOKYOPOPのCEOスチュアート・リービー氏によるパネルである。率直な発言の多いリービー氏の人柄もあってか、多くのマンガファンが会場につめかけた。

結果として内容は、TOKYOPOPの出版事業復帰を望むファンの期待に沿うものではなく、一部の作品のオンデマンド出版が発表されるに留まった。
アニメやマンガのディストリビューターで販売サイトを運営する「RightStuf」と契約を交わし、同サイトから幻冬舎の作品、『ヘタリア』などやTOKYOPOPのオリジナルマンガ数作をオンデマンド方式で出すことになったようだ。

余談となるが、リービー氏のパネルは通常行われる質疑応答時間がなく、来場者をがっかりさせた。しかしパネルの後、ファンが氏を追っかけて質問を浴びせた様子がYoutubeにアップされ、TOKYOPOPの動向へのいまだに高いファンの関心を示していた。

■ PART1 「アニメ・エキスポ」とは
■ PART2 「マンガの描き方」を学ぶことに対するアメリカでの 需要
■ PART3 「マンガの描き方」ワークショップ
■ PART4 MANGAという文化