米国で勢いを増すVIZメディア

米国のアニメ・マンガ関連市場で、小学館グループの戦略子会社であるVizメディアの積極的なビジネス展開が目立っている。今年初めの会社組織の再構築以来、アニメ・マンガ作品の小説版の書籍ビジネスやプレスクール向けのアニメ作品の提供、マンガ出版のニューレーベルの立ち上げなど積極的に米国ビジネスの拡大を図っている。
なかでも、注目されるのは言うまでもなく米国初の少女マンガ誌『少女ビート』の発刊である。現在、米国版『少年ジャンプ』の発行部数は30万部に達しており4.99ドルという価格も含めてマンガ雑誌という文化のない米国市場で順調な結果をだしている。この『少年ジャンプ』の読者の40%が女性であること、ここ1、2年の少女マンガへの関心の高まりが大きな理由になっている。

Vizメディアの優れた点は、国内ではライバル関係にある小学館、集英社、白泉社といった会社のコンテンツを一括して扱っていることである。こうした戦略は、まだまだ大きいとは言えない米国市場で大きなシェアを取り、市場の主導権を握るといった競争力を発揮している。また、豊富な作品を並べることで、コンテンツの優れたVizメディアといったブランド作りにも貢献している。
マンガ出版を中心とするVizメディアであるが、現在、米国におけるマンガ出版は市場占有率1位のTOKYOPOPが大きな力を持っている。しかし、ここ半年のVizメディアの積極的なプロモーション活動は、TOKYOPOPの影さえ薄くさせるほどである。例えば、先日のアニメエキスポ2005では、『少年ジャンプ』のサンプル本、『少女ビート』のサンプル本、アニメリカのフリーマガジン版を配るなど多額のプロモーション費用がかけられていることが垣間見えた。
近年、中国市場の大きさと成長性が注目されているが、実際には、当面ビジネスになる可能性が高いのは豊かな消費者が多く、著作権の保護されている米国市場なのであろう。
 
しかし、こうしたVizの勢いもアニメ雑誌についてはライバルでADVが発刊する『Newtype』に押され気味である。Vizの発刊する老舗のアニメ雑誌『アニメリカ』は今年の6月を持って書店販売を停止している。これは、日本の角川書店の日本版『Newtype』との豊富な記事との連携を集める米国版『Newtype』の好調ぶりも原因のひとつと考えられる。
2003年に創刊した米国版『Newtype』は、1号の発行部数が3万部、2号が6万部、創刊1年後には早くも10万部を超えている。その後も、『Newtype』は順調に発刊部数を伸ばし、現在では米国版はおよそ20万部に達し日本版の発行部数18万5000部(2004年実数)を越えたとも言われている。
これは小学館グループのいずれもが、国内でアニメ雑誌を持たないことがネックになったといえるだろう。しかし、これによりむしろVizメディアはマンガビジネスとそして書籍ビジネスに経営資源を集中し、ビジネスの効率化をあげつつあるともいえる。