クリエイティブ産業の海外展開強化 経産省が調査報告書

経済産業省は、日本文化の海外発信を目指すクール・ジャパン戦略に関する調査「クリエイティブ産業海外展開強化に向けた調査報告書」をとりまとめた。レポートは、クール・ジャパン官民有識者会議(第11回)の参考資料のひとつとして経済産業省のウェブサイトにて無料で公開されている。
この調査は、近年、国が力を入れる日本の文化・クリエイティブ産業の発信戦略(クール・ジャパン戦略)の一環である。政策を進めるにあたり、特に日本コンテンツの海外市場での過去の成功例、現状を分析、さらに今後の取り組みへの指針、戦略を提示している。
126ページにも及ぶボリュームの世界各国での日本コンテンツの受容分析や海外で成功例分析は、海外における日本文化やその経済的側面の研究資料としても価値が高い。

調査は主に4つのパートから構成される。

1.  過去の成功例の分析 (先行調査・研究の整理と成功のポイント抽出)
2. 国内企業のニーズ (国内プレイヤーの課題認識・パートナリングニーズの把握)
3.  展開対象地域の分析と特定 (分析対象国の特定)
4.  企業コンソーシアムの形成

以上の内容からは、日本のコンテンツの過去の成功例からビジネスの仕組みを理解し、さらに成功の可能性や波及効果の高い地域に重点的に取り組む戦略が窺える。また単独のコンテンツ企業でなく、他の産業を巻き込んだ企業連合(コンソーシアム)を用いることが目指されている。
経済産業省が、この春に2回にわたり開催したコンテンツ・クリエイティブ企業と異業種企業マッチング企画「クール・ジャパン大会議」を実施している。これもこうした流れのひとつであることが理解出来る。

参考事例が多いだけに、個別の報告の情報も豊富だ。過去の成功例として挙げられたテレビドラマ『おしん』、テレビ番組『料理の鉄人』、『ポケモン』のビジネススキームなどは、価値ある分析だ。
また、調査では市場開拓の効果の高い12ヵ国(中国、インドネシア、ベトナム、シンガポール、インド、サウジアラビア、トルコ、フランス、ロシア、タイ、米国、ブラジル)をリストアップしている。そのうえでこの国をタイプごとにグループ化、市場展開の戦略を提示する。
リストだけでなく、リストを作るもとになった各国・地域の分析は、それぞれの市場の個性を知るうえで興味深い。中国におけるアニメビジネスのほか、各国の分析でアニメ・マンガに関する言及が多くなっている。アニメ・マンガが海外における日本文化浸透の大きな部分を占めていることが、あらためて示されたかたちだ。

クール・ジャパン 官民有識者会議
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mono_info_service.html#cool_japan

クリエイティブ産業海外展開強化に向けた調査報告書(PDF)
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/cool_japan/pdf/011_s02_00.pdf
(*PDFへの直接リンクになっています。)