日本アニメはドイツでいま(3)  ドイツのインターネット配信事情 アニマジン社に聴く

日本アニメはドイツでいま (3)
ドイツのインターネット配信事情 アニマジン社に聴く

■ ドイツのインターネット配信事情

AA
デジタル化についても伺っていいですか。いまやネットは業界に大きな影響を与えています。インターネットの動画配信はどう思われますか?

トーマス
配給会社によれば、アニメについてプラットフォームが多種多様すぎるという問題があります。Maxdome、 Videoload、iTunes、Anime on Demandなどです。これらも数多くある中のほんの一部です。
コンシューマーはこうした配信サイトのクオリティの違いや価格の違い、扱っているコンテンツの違いなどなどを知らなければならず気楽に楽しめません。マンガについてはまだまだ発展途上です。

マリオ
VOD (video on demand)のシステムは複雑で、しかもハードウェアがそれぞれ違っていたりしますね。コンシューマーはもっと楽に観たいはずなのに、コンピューターの前に座って、検索して探したりしなくちゃならないですから。手間がかかりすぎます。

AA
今後、3~5年先も変わらないのでしょうか?

マリオ
IPTVの放送局などは容量を増やしたりはしていますが、非常にゆっくりですね。ドイツ人はあまりインターネットにお金をかけたくないんです。コストが高すぎて、インフラ整備も進んでいません。

トーマス
皆、発展に期待はしてるんだけど、誰もインフラ整備に資金と時間を投資したくない。金の卵がまだ見つからない状態です。(笑)

■ 変わるインターネットの違法配信事情

AA
インターネットと言えば、世界各国で海賊版が大きな問題になっています。ドイツの現状はどうでしょうか。

トーマス
状況が変わってきています。Megauploadという違法ファイルの交換サイトを運営していたキム・シュミッツというドイツ人が逮捕されましたよね。

マリオ
ニュージーランドで投獄されたドイツ人です。運営していたサイトも閉鎖されました。

トーマス
こうしたことで違法ダウンロードは犯罪なんだ、ということが一般にハッキリ伝わりました。

マリオ
いまでは知らないで違法行為をしていた人も、ある日突然、「あなたは違法に作品をダウンロードしたので、罰金500ユーロを支払うこと。」と書かれた手紙(督促状)を受け取るようにもなりました。

トーマス
それは政府からだったり、音楽会社だったりします。こうしたアクションが起こされたことにより、人々は皆「うわ!」と面喰っているんです。
そして、もっと考えるようになってきています。今、ダウンロードしようとしているものは、アーティストによる制作物であるということ。それに関わっている会社の従業員たちが生活するためのお金を稼ぐために働いていること。そういったことを、きちんと伝えなければいけません

■ ヨーロッパの中の日本企業

AA
日本の企業とヨーロッパの関わり方も伺っていいですか。日本企業がヨーロッパでビジネスをするのはやはり難しいのでしょうか?

トーマス
直接、現地に参入するという試みは始まっています。日本から(日本企業の出資する)KAZEなどを通じて、作品のリリースや配給をしようとしています。
ただ、正直言えば、どのようにすればうまくいくのか、厳密にはわかっていないと思います。現地の人と一緒になって、経験や体制を一から積み上げていかなければなりません。苦戦しているように見受けられます。

AA
日本の企業から見るとヨーロッパは所得も高いし、人口も多くて魅力的です。ただ言語が多すぎるし、国境も多すぎる。その対応が難しいように思えます。

マリオ
ヨーロッパには例えば人口8千万人のドイツ、6千万人のフランス、それにイタリア、スペインといった大きな国からベルギーやオランダなどの小さい国もたくさんあります。このなかでは、ドイツ、フランス、イタリアの市場がやはり重要です。

AA
最後に日本のアニメ業界に向けて伝えたいメッセージはありますか?

トーマス
これは業界の皆さんにお会いするとき必ず毎回お伝えしていることではあるのですが、長年にわたって、様々な会社の皆さんとコンタクトを取りながら仕事をやっていくことができて良かったと、日独関係に感謝しています。
日本とドイツの間には共通点がたくさんあると思います。日本サイドの方針やプロセスに沿った(版権者による)監修を尊重し、同時にリスペクトを持ってきちんと接することでとても良い協力関係を築くことができます。雑誌記事に使用するための素材や作品のバックグラウンドなどなど、有用な情報をいただいたりしていますから。こうした高いレベルでのご協力やご提供をいただけるのは、本当に素晴らしいことです。その一言に尽きます。

AA
東日本大震災の復興支援もされていると聞いています。

トーマス
チャリティオークションを昨年のAnimagiCでは開催しました。今年も復興支援のためのチャリティオークションを行う予定です。
昨年はいろんな方々にご協力いただき、特にボンズさんには本当に感謝しています。

AA
今日は本当にありがとうございました。とても興味深い内容でした。