米国電子コミック販売のGraphicly 配信事業撤退で業界寡占化へ

米国の電子コミック配信の寡占化が強まりそうだ。2010年から米国でアメリカンコミックスの電子配信、販売を手掛けてきたGraphiclyが、自社ウェブサイトと独自アプリを通じたコミックス販売から撤退することになった。
Graphicly は、4月5日に電子コミックの販売事業からの撤退を表明した。今後は既存のコミックス、書籍をイーブックとして読むためのデジタル化やデジタル出版における出版社や作家のサポート事業にフォーカスする。同社は設立以来新しい電子書籍マーケットを目指してきた。しかし、撤退にあたっては「目標達成は、最早困難となっている」と説明する。

電子書籍化の波が押し寄せる米国だが、フルカラーのイラストレーションといった特徴を持つアメリカンコミックスでは独自の配信技術、販売ストアを持つ独立企業が存在してきた。なかでも大手として知られるのがComiXology と iVerse、そしてGraphiclyであった。これらのサイトは自社サイトのほか、iOSやAndroid向けのアプリを通じて販売を行う。

米国で電子書籍市場は急成長しているとするが、こうしたベンチャー企業の多くは初期の投資段階で収益性は必ずしも高くない。
また、アメリカンコミックスの販売では、出版各社、大手プラットフォームとのアライアンス、マーケティング活動に精力的なComiXologyが急激に勢いを増している。iVerseは、紙でのアメリカンコミックス流通で寡占体制を築くダイヤモンド・コミック・ディストリビューター(Diamond Comics Distributors)と手を組む。
こうした2社の間でGraphiclyは、コミック販売としての戦略の方向性を見失ったと言えそうだ。いまだ黎明期のアメリカンコミックスのデジタル販売だが、しばらくはComiXology と iVerseの2社体制が続くことになりそうだ。

一方で、アメリカンコミックスに比べても表現手段、ユーザー層が異なる日本のマンガはまた独自のデジタル販売システムを持っている。日本マンガの翻訳出版大手のVIZ MediaやYenPressによる販売サイト、アプリである。また、日本のデジタルコミック協議会の支援を受けるJMangaも存在する。
今後は、アメリカンコミックスとマンガがデジタル販売において融合に向かうのか、やはり独自の方向を目指すのかも気になるところだ。

Graphicly  http://graphicly.com/
iVERSE MEDIA  http://comicspl.us/
ComiXology  http://www.comixology.com/