出版デジタル機構 国も積極支援、産業革新機構が出資

国内出版デジタル化のインフラ推進を目指す業界横断型会社、株式会社出版デジタル機構の設立が3月29日に発表された。国内主要出版社、版元ドットコム、産業革新機構、大日本印刷、凸版印刷の出資により、2012年4月2日付で設立される。
代表取締役には植村八潮氏が就任、野間省伸氏(講談社代表取締役社長)、堀内丸恵氏(集英社代表取締役社長)、相賀昌宏氏(小学館代表取締役社長)が取締役に就く。本社は東京千代田区神保町に置かれる予定だ。

出版デジタル機構が目指すのは、国内の出版物のデジタル化推進である。設立にあたっては、電子出版物の普及促進、電子出版物100万点の達成・電子出版市場2000億円の創出、電子書店・図書館を通じた電子出版物の提供、出版社の出版事業拡充のためのインフラの構築を掲げる。
一昨年以来、出版ビジネスの革新として、電子書籍が注目されている。そのなかで個別企業、企業連合による電子出版事業の新たなビジネスへの取り組みを始めている。
出版デジタル機構も、一見はそうした会社のひとつ、あるいはデジタル事業者の業界団体のように映る。しかし、実際はこれまでのいかなる団体とも大きく異なったものとなりそうだ。むしろ、同社の役割は、海外に対してビジネス展開の遅れが目立つ電子書籍ビジネスを国内企業の手で、整備する国策会社としての色合いが濃く見られる。

もともと出版デジタル機構のアイディアは、総務省、経済産業省、文部科学省などによる三省デジタル懇談会などの議論の中から生まれた。単独企業だけでは取組みにくい電子書籍のインフラや技術などを効率よく投資する狙いがある。また、独自の論理を持つ、海外のインタネーネット企業によるデジタル出版の独占に対抗する意味もありそうだ。
オールジャパンとして意識は、同社の株主構成からもみられる。角川書店、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、筑摩書房、文藝春秋、平凡社、有斐閣の主要出版社に加え、中小出版社を取りまとめる版元ドットコム、そして国内2大印刷会社でデジタル分野への参入が著しい大日本印刷、凸版印刷加わっているからだ。

さらに国内産業の振興、創出を目的とする産業革新機構が出資するのも注目だ。産業革新機構は、出資金の大半を国が負担し、調達資金を国が保証する国策投資会社の位置づけにある。これまでに製造業、新エネルギー、製薬企業など国の重点産業に投資してきた。
出版デジタル機構には、上限150億円の出資をするとしている。電子書籍が、国から次世代の重要産業とされていることが分かる。
産業革新機構が、コンテンツ産業に出資するのはこれが2件目となる。2011年には日本のマンガ、アニメ、小説、映画、ゲームなどを原作に海外で映画化展開を目指す株式会社All Nippon Entertainment Worksを設立した。同社に60億円を上限に出資することも決めている。映像に続き、出版でもオールジャパン体制の産業強化を目指すことになる。

出版デジタル機構 http://www.shuppan-d.info/
産業革新機構 http://www.incj.co.jp/