世界メディア芸術コンベンション マンガやアニメーションを「開く」

 3月4日まで国立新美術館をメイン会場として第15回文化庁メディア芸術祭が開催されている。前回のようにサテライト会場も設けられ、今回は国立新美術館に近い東京ミッドタウンのd-laboに、メルセデス・ベンツコネクション、ニコファーレ、TOHOシネマズ六本木ヒルズも加わって拡充している。
 さらに本イベント以外にも関連イベントが開催されている。昨年から開始された、世界メディア芸術コンベンションもそのうちの1つだ。

 世界メディア芸術コンベンションでは、一般的にマンガやアニメーションが理論的考察の対象というよりも、ファンやマニアの間に閉ざされた消費の対象だとみなされている点に疑問を投じている。新たな文化的価値感や芸術観を共有しつつあるにもかかわらず、それを適切に言葉にすることが出来ないジレンマに基づいている。
 マンガとアニメーションをある種の文化的な「共有地(コモンズ)」と考え、文化的想像力の共有可能性という問題に焦点を当てる。日本のマンガとアニメーションは世界的に大きな影響力を持っているという特異性を強調しすぎることは却って障害となるため、普遍性の方に注目し、将来の地球的文化においてどのように発展させてゆくべきかを議論する。

 第2回ではマンガやアニメーションが中心的分野とされていながらも産業的な関心から「クールジャパン」のようにプロモートする言葉は「クール」ではないという見地に立脚する。権利関係の文脈で用いられる「コモンズ」という語を、あえて文化的な文脈で用いることで、3・11以降の日本にとって文化の継続的育成を通じ、言語や国家の境界を越えて社会が共有すべきものは何かを問う。
 
 世界メディア芸術コンベンション2012は、3月3日と4日の2日間開催される。会場は国立新美術館の隣にある政策研究大学院大学で、定員は各300名。オープニングセッションでは、アニメーション作家・大山慶さんの作品やその制作スタイルも分析される。
【真狩祐志】

世界メディア芸術コンベンション2012
http://www.simul-conf.com/icomag2012/

[世界メディア芸術コンベンション2012 プログラム]

3月3日 13:30-18:00
オープニングセッション 想像力を共有するとは?
総合座長
吉岡洋 京都大学大学院文学研究科教授(美学芸術学/情報文化論)

■ セッション 1 アニメーションと現代文化

キーノート 1
エスター・レスリー(英国) ロンドン大学バークベックカレッジ教授(政治美学)
コメンテーター
加治屋健司 広島市立大学芸術学部准教授(表象文化論)
パネリスト
門林岳史 関西大学文学部准教授(メディア論)
モデレーター
佐藤守弘 京都精華大学デザイン学部准教授(芸術学/視覚文化論)

■ セッション 2 日本文化を活性化(アニメート)する:コンテンツとコンテクスト

発表 1
キム・ジュニアン(韓国) 韓国芸術総合学校・韓国映画アカデミー講師(アニメーション研究)
発表 2
マーク・スタインバーグ(カナダ) コンコルディア大学准教授(フィルム・スタディーズ)
コメンテーター
アレクサンダー・ツァールテン(韓国) トングック大学映画映像学科准教授(メディアミックス論)
パネリスト
佐野明子 桃山学院大学国際教養学部専任講師(アニメーション研究)
モデレーター
岡本美津子 プロデューサー、東京藝術大学大学院映像研究科教授(コンテンツ・プロデュース論)

3月3日 13:30-18:00

■ セッション 3 ある日本大衆文化の形成:戦後日本社会におけるマンガとアニメーション

キーノート 2
小熊英二 慶應義塾大学総合政策学部教授(歴史社会学)
コメンテーター
ライアン・ホームバーグ 学習院大学・日本学術振興会特別研究員(マンガ史/カルチュラルスタディーズ)
パネリスト
石田美紀 新潟大学人文学部准教授(映像文化論)
モデレーター
岡本美津子 プロデューサー、東京藝術大学大学院映像研究科教授(コンテンツ・プロデュース論)

■ セッション 4 想像力の視覚化

発表3
グンヒル・ボーグレーン(デンマーク) コペンハーゲン大学准教授(視覚文化論)
コメンテーター
長池一美 大分大学国際教育研究センター准教授(比較文学)
パネリスト
佐藤守弘 京都精華大学デザイン学部准教授(芸術学/視覚文化論)
モデレーター
小池隆太 山形県立米沢女子短期大学准教授(記号論/メディア論)

セッション 5 文化的「共有地(コモンズ)」としてのマンガ

発表 4
テヴィニタ・ララサティ(インドネシア) バンドン工科大学芸術デザイン学部専任講師(マンガ作家/編集者)
発表 5
ジャクリーヌ・ベルント 京都精華大学マンガ学部教授(マンガ理論)
コメンテーター
高橋瑞木 水戸芸術館現代美術センター学芸員
モデレーター
加治屋健司 広島市立大学芸術学部准教授(表象文化論)

全体統括ディスカッション
モデレーター
吉岡洋 京都大学大学院文学研究科教授(美学芸術学/情報文化論))