アジア共通プラットフォームを検討 第3回アジア・コンテンツ・ビジネス・サミット開催

アジア共通プラットフォームを検討 第3回アジア・コンテンツ・ビジネス・サミット開催

文: 伊藤裕美、オフィスH

パネルの様子

アジア・コンテンツ・ビジネス・サミット(ACBS)が昨年12月8日と9日にシンガポールで開催された。2008年に日本の経済産業省の呼びかけで始まったACBSは、東アジア・東南アジアのコンテンツ産業の官民プレイヤーが一堂に会し、産業振興、海外展開動向そして海賊版対策などを議論する場で、他に類がない。第3回となる今回は、アジア共通プラットフォーム「Pan Asia Channel」に関心が集まり、ACBSの継続プロジェクトとなることが決まった。

今回は、シンガポールのメディア開発庁(MDA、http://www.mda.gov.sg/Pages/Home.aspx)が主催し、参加者の利便性を考えアジアテレビジョンフォーラム(ATF)と同時期に開催され、中国、香港、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール、そして日本の7カ国・地域から延べ120名ほどが参加した。8月の洪水被害を受けたタイのアニメーション制作会社が出席できず、民間の参加者は減少したが、次回ホスト国候補の1つである中国は、ラジオ、テレビ、映画を統括する国家広播電影電視総局が参加し、ホスト国のシンガポールはMDAの事務方ナンバーワン以下要職が顔を揃え、民間のメディアコープ、シングテルなど著名企業も出席した。
ACBSはこれまで一貫して“アジアのコンテンツ流通展開”を議論してきた。近年アジアの独自コンテンツの制作は急激な成長を見せ、質的水準が高まる。とりわけ、韓国はK-Popや韓流ドラマが成功し、国際共同製作やキャラクターの世界展開に自信を深める。一方、アジアでの欧米コンテンツの台頭は著しく、ACBS参加者は「アジアでは各国・地域で流通が分断し、欧米とりわけ米国のようにグローバル展開できるプレイヤーが脆弱である」という認識を持つ。ACBSの発起人であり、象徴的存在である、香港サロンフィルム会長のフレッド・ワン(FredWang)氏は、アジアは世界のビジネス中心地になりつつあり、より文化的に協力しアジアの長い歴史と多くの共通点を活かした“アジアのハリウッド”を作れるとする。

今回のACBSでは、アジア共通プラットフォームである「Pan Asia Channel」に関心が集まり、継続プロジェクトとして扱われることとなり、ワーキング会合の開催が議論された。今会議では、デジタル系メディアや技術へ投資する中国系ベンチャーキャピタル、ゴビ・パートナーズ(Gobi Partners)のシンガポール事務所代表のクー・ケイ・モク(Ku Kay Mok)氏が「アジア製コンテンツの輸出拡大が予想され、アジア共通チャンネル創設の好機」として、放送ネットワークの活用、共同製作+既存チャンネル利用、チャンネル内チャンネル等の構想を披露し、議論する一方、市場の位置づけ、扱うジャンル、各国・地域で異なる言語や規制など課題が提起された。

■アジア共通プラットフォーム「Pan Asia Channel」

アジアは、EU(欧州連合)のような統一市場はなく、アメリカのようにコンテンツの巨大な成熟市場でもない。さらに、各国・地域で市場成熟度だけでなく、制作力、あるいは得意分野がまちまちである。ACBSでは当初からアジアの資金調達、ファンドを議論し、今会議でもアジアのメディア業界の間でEU的な制度や東アジアにデジタル証券取引を興し、コンテンツIPへの融資の可能性など、ヒトとカネのネットワークに関する意見が出されたが、統一指針はまだない。このような中、アジア共通プラットフォームがプロジェクトして位置づけられ、ワーキング会合が決定したことは、ACBSの意味づけになる。
ACBSの事務方を務める、経済産業省商務情報政策局メディア・コンテンツ課の草深志保理国際係長は「アジア共通プラットフォームの各国・地域全体に及ぼす経済インパクトを分析し、実現可能性を官民合同の枠組みで検討することは、ACBSの一つの挑戦として価値がある」とする。

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■アジア共通プラットフォームの課題と日本のメリット
草深係長に、日本にとってのアジア共通プラットフォームのメリットと今後を聞いた。