メディア芸術祭大賞に『まどか☆マギカ』『土星マンション』等

[文・取材 野口智弘]

前列左より『土星マンション』の岩岡ヒサエ氏、『魔法少女まどか☆マギカ』の岩上敦宏氏、『SPACE BALLOON PROJECT』の大八木翼氏、『Que voz feio(醜い声)』の山本良浩氏

 12月15日、東京・南青山にて平成23年度[第15回]文化庁メディア芸術祭のプレス向け受賞説明会が行われ、受賞作品が発表された。メディア芸術祭はアート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門の4部門で構成され、それぞれに大賞1作品、優秀賞4作品、さらに本年度から新人賞3作品を選出。またメディア芸術の発展に寄与した人物1名に功労賞が贈られる。

 今回の作品応募総数は、過去最高の2,714作品(前回2,645作品)。内訳はアート部門1,399作品(前回1,101作品)、エンターテインメント部門534作品(前回669作品)、アニメーション部門405作品(前回425作品)、マンガ部門376作品(450作品)となっており、アート部門の増加が、他3部門の微減を補っている。また海外からの応募が大幅に増え、全体の約3分の1、956作品(前回694作品)が57の国と地域から集まった。

 アニメーション部門の大賞は、テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が受賞。原作を持たないアニメオリジナルの作品であること、それにより先の読めないストーリーが毎週展開される、テレビ放送のメディア特性を最大限に発揮した作品として高く評価された。

 登壇したアニプレックスの岩上敦宏氏は「魅力的なキャラやセリフがひとり歩きしてネット上などでいろんな楽しまれ方をした作品で、それもうれしかったですが、今回アニメ本編そのものを評価していただけたのは本当にうれしいです」とあいさつ。2012年公開に向け制作中の劇場版については「同じメンバーで進めております。また面白い作品を提供できると思います」と触れた。
 審査の主査を務めたアニメーション作家の古川タク氏は「僕は審査で初めて見たんですけど面白いんですよ。3話ぐらいから『あらっ!?』というね(笑)。審査用のDVDも終わったら『早く次!』って見たくなる。本当にしたたかで計算し尽くされた演出だし、脚本がしっかりSFですごいと思いました」とコメント。若いアニメファンに留まらずベテラン世代もうならせる出来であることを快活に語った。

 アニメーション部門では、このほか大賞を最後まで争ったという山村浩二氏の『マイブリッジの糸』や、2012年の劇場公開を控えている『ももへの手紙』などが優秀賞を受賞。新人賞では石田祐康氏が『rain town』で受賞しており、昨年度の『フミコの告白』に続き2年連続で入賞する快挙を見せている。

 マンガ部門の大賞は、未来の宇宙を舞台に少年の成長を独特のタッチで描く、岩岡ヒサエ氏の『土星マンション』が受賞。
 岩岡氏は「ひとりでやっているような感覚に陥る職業ですが、いろんな方に助けられて書かせていただいてます。苦労はあるんですが最後のほうは楽しく、がんばった部活が終わったような感動があり自分でもびっくりしました」とコメント。主査であるマンガ家、さいとうちほ氏は「フリーハンドを駆使した、緻密で繊細な愛らしい線のマンガですが、読み進めていくうちに壮大なテーマが浮かんできて、非常にびっくりしました。これが総合的に見ても一番だろうと審査員のみなさんに愛されていた作品でした」と講評を語った。

 マンガ部門ではこのほかに、東日本大震災後の世情をモチーフにした、しりあがり寿氏の『あの日からのマンガ』、携帯電話用の作品としては初の受賞となる『マスタード・チョコレート』などが選出されている。

 アート部門の大賞には、同じ思い出を語る双子の女性の映像を並べ、記憶やコミュニケーションの曖昧さを見る側に訴えかける、山本良浩氏の映像作品『Que voz feio(醜い声)』が選ばれた。

 エンターテインメント部門の大賞は、スマートフォンを特殊なバルーンに乗せ、成層圏までのフライトをUSTREAMで配信した、大八木翼氏らの『SPACE BALLOON PROJECT』に贈られている。

 また功労賞には、広島国際アニメーションフェスティバルを長年手がける木下小夜子氏(アニメーション作家、プロデューサー)が選ばれた。

 本年度の印象としては、若手に向けた新人賞の枠が増えた分、アニメーション作家の山村浩二氏やアートディレクターの田中秀幸氏、マンガ家のしりあがり寿氏など、すでに評価を得ているベテランがあらためて優秀賞に選ばれるケースが見受けられた。
 またコンシューマゲームの受賞作がなかったことも特筆しておきたい。それとは対照的にソーシャルメディアやスマートフォンを活用した作品は散見され、従来のゲーム業界が曲がり角に立っていることを感じさせる受賞結果となった。

 今回の受賞作品と、審査委員会による推薦作品は「文化庁メディア芸術祭受賞作品展」として2012年2月22日から3月4日まで、国立新美術館にて開催される。

文化庁メディア芸術プラザ
http://plaza.bunka.go.jp/

受賞結果一覧は  次のページへ