ディズニー ピクサー74億ドルで買収決着

 大手メディア企業のウォルト・ディズニーは、3DCGアニメーション企業のピクサーと株式交換を利用した同社の買収をすることで24日合意に達した。買収総額は、74億ドル(およそ8500億円)になり、ピクサーの株式1株に対してディズニー株2.3株が割当てられる。 
 これは24日の取引市場でのピクサーの終値59.78ドルに、4%のプレミアを上乗せした金額になる。買収後は、両社のアニメーション制作部門は統合、新社長はピクサー側からだされ、ピクサー主導で進められることになる。

 ピクサーは、『Mr.インクレディブル』や『ファインディング・ニモ』などの3DCGアニメーションで大ヒット作を次々に送り出してきたことで知られている。これまでディズニーとの契約により、映画を制作・配給してきた。
 しかし、ピクサーが次々とヒット作を飛ばす一方で、ディズニー自身の制作によるアニメーション映画は興行が振るわず苦戦して来た。このため契約当初の両社の力関係が大きく変わり、今年の夏公開の『Cars』を最後とする契約の更新交渉が難航していた。

 ディズニーはピクサー側との交渉決裂後、一時は、独自のスタジオを中心に3DCGアニメーションの制作に乗り出す姿勢も見せていた。しかし、昨年暮れのディズニー自身による3DCGアニメーション『チキン・リトル』が目立った興行成績を残せなかったことから、今回の高い買い物とも言われた買収を決断したといえる。
 一方、ピクサーは、自社作品流通のための新たな配給会社を探す必要がなくなる。また、自社制作のアニメーションのうち権利がディズニーにある『トイ・ストリー』などの続編や、これからディズニーが制作する多くのアニメーション作品に関与できるようになる。

 これまでピクサーの会長兼CEO(最高責任者)で株式50.6%を所有していたスティーブ・ジョブス氏はディズニー最大の個人株主になり、同社の取締役になる。ジョブス氏は、インターネット通じた音楽・動画配信事業で注目を浴びるアップル社のCEOも兼ねており、今後はメディア業界でのジョブス氏の影響力が強まる。
 また、既にアップルのiTunesに積極的に配信番組を提供しているディズニーは、今後さらに同社との結ぶつきを強める可能性がある。インターネットを通じた動画配信事業の拡大も一気に加速しそうだ。

 ディズニーがピクサーを自社の中で取り込んだことで、アニメーションに圧倒的な強さを持つ自社のブランドを強固に出来る。豊富なアニメーション作品のライブラリーと創造性が高いとされるスタジオが組み合わせられることで、同社の世界におけるアニメーション業界の圧倒的な地位はさらに大きくなるだろう。