デジタル・フロンティアが目指すもの 長編フルCGの挑戦

■ 日本オリジナルのCG技術と『鉄拳 ブラッド・ベンジェンス』

(C)2011 NAMCO BANDAI Games Inc.

AA
今回の『鉄拳ブラッド・ベンジェンス』の企画は、どこからはじまったのですが?

豊嶋
少しビジネスの話しますと、『FFアドベントチルドレン』がかなり売れましたよね。その流れからソニー・ピクチャーズさんがゲーム作品をやりたいという話があり、『バイオハザード』(フルCG映画)をやるという話になりました。こちらの作品も成功して、現在はその続編を制作しています。
そうしたゲーム作品のCG映画化の流れのなかでさらに『鉄拳』の話をバンダイナムコさんとさせて頂きました。ゲームの映画化という大きな流れがあるんじゃないかと思います。

AA
ビジネスの話ですと、日本の映像、アニメーションの中でゲーム原作、しかもCGは、明らかにいま海外でお金になる数少ない作品ですね。

豊嶋 
本当にそう思います。『鉄拳』はナンバーワン格闘ゲームという実績があるわけですから。映像化されて観たいと思う人たちはいるだろうなというのが狙いです。

AA
これはたぶん、皆さんが意識されているか分からないのですが、僕はいわゆるリアル系CGアニメーションは、かなり日本オリジナルだと思っています。
よくCGアニメーションは海外がすごいというのですが、主流はピクサータイプで、ドリームワークスアニメーションも同じです。
ところが日本のCGはゲームに由来する部分が大きく、2Dアニメの伝統も流れ込んでいます。非常にオリジナルでおそらく世界的にみてもかなり競争力はあると思っています。デジタル・フロンティアさんをはじめとする日本のCGプロダクションはオリジナルで凄いものを創っており、日本はまだまだいけるのじゃないかと僕は楽観的に考えてしまいます。

毛利 
僕もそれは思いますね。日本独特のものはあると思います。こうしたキャラクターの長編フルCGはそうですね。

豊嶋 
たぶん外人さんたちはあまりリアルなものはまず違和感が先に立って、あまりやらないんだと思います。あまり狙ってこない。でも日本では、人型のものが多いです。

毛利
『FF』のような日本のCGキャラクターは、日本発な感じがしますよね。何となく日本人らしいデフォルメ感があるじゃないですか。かわいい子をかわいく見せる、かっこいい子をビジュアル系に見せるみたいなものです。

AA
アニメの伝統を引きずっていると思っているひとつは、非常に理想化された世界が描かれていることでないでしょうか?『鉄拳』を見ても、みんな美男美女ばかりです。

豊嶋 
映画のキャスティングがみんな美男美女ぞろいというのは、そういうことだと思います。その中でも、さらに着地させやすくするために、実際の人よりもっと目を大きくしたりとか、アニメの影響はかなり入っていると思います。

AA  一番今回感じたのは、アリサの髪の色です。ピンクじゃないですか。

毛利  ピンクですね(笑)。

AA
外国人はこういう発想あまりないと思うんです。日本ではピンクとか緑とか水色の髪の子はアニメで普通に出ていますから。

豊嶋  服も強烈ですしね。

毛利 
面白いですよね。アニメのぶっ飛んだ設定が、逆にゲームに取り込まれていくじゃないですか。ゲームに取り込まれたものが、今度またフルCGで流れてくる。そこは日本っぽいなという気がします。

AA
リアル系のキャラクターで言えば、海外でも『ポーラー・エクスプレス』などはあります。ただ、あの辺りが、いまひとつ命中していないよう感じます。
例えばデジタル・フロンティアさんが目指しているものと海外のリアル系CGキャラクターの違いは何ですか?

豊嶋 
たぶんこの路線でいうと、海外はゼメキス監督の路線しかないと思います。ちょっとリアルで、でもちょっとデフォルメした人をどう着地させるかです。例えばゲームでリアルなキャラクターCGを作っているアメリカのブラー・スタジオなどは、ゲームの映像では平気でやるのですが、でもそれを長編映像にはしていません。
日本人がたぶん『ポーラー・エクスプレス』を見ると、違和感があると思うんです。一方で『アドベントチルドレン』を観ても誰も気持ち悪いと言わないですね。おっしゃる通り理想化された世界だと思います。

PART2 へ デジタル・フロンティアのビジネス戦略に続く