米国でグラフィックノベルを圧倒するマンガ

 2005年6月29日にロサンゼルス市の書店で日本マンガの販売状況を確認してみた。それをもとに日本マンガの米国進出状況の一端と競争力を考えてみた。確認したのはロサンゼルスの最もポピュラーな繁華街のひとつであるサンタモニカの中心街サードストリートにあるボーダーズ(Borders)とバーンズ&ノーブル(BARNES&NOBLE)の2店である。米国のボーダーズとバーンズ&ノーブルは、日本で言えば丸善と紀伊国屋といった書籍を中心とした一般的なチェーンブックストアである。

 結論から言うと日本のマンガ進出の勢いは事前の想像以上に大きく、存在感も高くなっている。ボーダーズのグラフィックノベル部門は、マンガを含んだ一般的な分類グラフィックノベルでなく、グラフィクノベル&マンガ部門として分類されていた。それは、実際の売り場面積の実態を反映した分類方法である。
 なぜなら、ボーダーズのグラフィックノベル&マンガ部門は高さ2m超、幅1m程度の書棚8本からなるが、そのうち6本までが日本のマンガで占められており、実際にはほとんどマンガ売り場であった。米国のグラフィックノベルはサイズが日本のマンガのようにペーパーバックサイズに統一されてないこともあり、商品が探しにくく整然と並んだ日本マンガと比べると存在感が小さくなっている。
 また、昨年、同時期に比べても日本の書棚は増加しており、その増加分だけ米国コミックのグラフィックノベルの書棚が減少したように見える。日本マンガの増加分は勢いを増す少女マンガの取扱いが反映されているようだ。少女マンガは、昨年に比べてかなりタイトル数が増えていた。
 米国で一般的なコミックス雑誌は奥の回転式の書棚にまとめてあったが、量的にも存在感も日本マンガに比べる小さかった。コミックスは、バーン&ノーブルズでは売り場も発見出来なかったため、街中のスタンドや雑誌店で買うのが一般的なコミックスと単行本スタイルの日本マンガは流通経路も異なった別の製品として見做されている可能性が高い。

 バーンズ&ノーブルは、ボーダーズに比べるとマンガ・グラフィックノベルのいずれも取扱いは少なく、全部合わせても書棚3本であった。しかし、そのうち2本が日本のマンガであつた。バーンズ&ノーブルは、少女マンガの取扱いが少なくボーダーズのマンガ分野への積極的な取扱いが目立った。
 
 出版社別では様々なディズプレイを用いた積極的なプロモーションを行なっているTOKYOPOPが目立っており、書棚のマンガのタイトル数でも一歩抜け出している。しかし、小学館グループ系のVIZの作品も多く、人気作品はVIZのほうが多く確保しているようだ。マーケティングのTOKYOPOP、作品のVIZといった表現が出来るかもしれない。ダークホースコミックなどの他のマンガ出版もあるが、店頭販売ではこの2社が飛び抜けた存在といえる。

 また、近年、積極的に宣伝、販売プロモーションがかけられていると言われる韓国産マンガ(マンハ)は、私が見た限りでは書棚に発見出来なかった。また、米国人によるマンガもほとんどなく、わずかにあった作品も現在のところレベル的には日本マンガにまだまだという内容であった。
 全体的に、近年、メディアでも指摘される日本マンガの勢いが確認できると伴に、いまのところ他国のマンガとの競争力も日本がかなり強い状態で維持されている。
[数土直志]