日本アニメBD・DVDの米国の現状 発売会社は何社?(2)

■ メディア・ブラスター/マンガ/センタイフィルムワークス

 米国系の老舗企業ではメディア・ブラスター(Media Blasters)が、取扱いタイトル数を減らしつつもアニメのビデオグラム事業を続けている。同社は日本の実写作品も扱っており、バイオレンス色の強い作品にも寛容だ。ターゲットはアニメファンのなかでも特にニッチなタイトルのファンである。『一騎当千』や『バクマン。』、『侵略!イカ娘』などを扱う。
 一方、同じく老舗のマンガ・エンタテイメント(Manga Entertainment)は、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られた有力会社だが、北米事業はほぼ停止状態である。2010年に『REDLINE』のライセンスを獲得して以降は新たなライセンス発表はない。現在は親会社であるStarz Mediaのいちレーベルとの位置付けと考えられている。

 コアファン向けのディトリビューターで力を持ちつつあるのが、センタイ・フィルムワークス(Sentai Filmworks)である。2009年に当時の大手ディストリビューターADヴィジョンの経営陣・スタッフがADヴィジョンの事業を受け継ぐかたちでスタートした。
 やや複雑で不可解な事業継承で日本ではあまり知られていないが、北米ではセンタイ・フィルムワークスはADヴィジョンの事実上の後継会社とみられている。かつてのADヴィジョンの勢いはないが、『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』、『Angel Beats!』、『百花繚乱』など他社がやや扱いづらいが確実なマーケットがあると見られる作品をピックアップする。扱いタイトル数も増加傾向にある。

■ アニプレックスUSA/NISアメリカ

 こうしたなかで2010年から新たな動きを見せているのが日系企業の2社、アニプレックスUSA(Aniplex of America)とNISアメリカである。2社のターゲットもまた、コアファンにフォーカスしている。
 ソニーミュージックエンタテイメントグループでアニプレックスの子会社アニプレックスUSAは、2010年にDVD発売事業を立ちあげた。他社に番組ライセンス販売すると同時に、自社でもDVD発売も手掛ける米国のアニメ業界ではやや異色の存在だ。
 また、NISアメリカは、日本国内ではアニメ事業と関わりが薄い日本一ソフトウェアの子会社である。米国で北米ライセンスを獲得してDVDの発売をする。こちらもこれまでになかったタイプのディストリビューターだ。

 その成り立ちは大きくことなるが、アニプレックスUSAとNISアメリカのマーケット戦略はよく似ている。小さな市場を前提に、小さく、かつ利益率の高いビジネスを目指す。ソフトコアなアニメファンにターゲットを絞り、そして商品のクオリティを売りにする。2000年代後半に急速に進んだアニメDVD・BDの低価格戦略に追随しない。
 これを可能にしているのが、仕入れ価格の大幅なディスカウントを迫る大手流通を敢えて避け、インターネットショップや自社サイトからの直販、アニメコンベンションでのブース販売などに力を入れることだ。これらはコスト削減にも大きな力を発揮し、両社のビジネスの出足は悪くないようだ。しかし、今後さらにビジネスを拡大するとしたら、タイトル数を増やすのか、流通を広げるのか難しい選択を迫られる。いずれもコストの上昇を招くからだ。

[今後の課題は?]

 厳しいとされる米国のアニメDVD・BDの市場だが、こうしてみると各社は新しい市場環境に合わせた生き残りの体制を立てつつある。2000年代後半に幾つかの企業で起きた赤字の積み上げ、市場撤退といった事態は、今後はあまり起きないかもしれない。
 問題は、現状に合わせたビジネスが縮小均衡に陥る可能性だ。Wowmax Mediaがニールセンブックスキャンより算出した2010年のアニメDVDの市場は2億ドル前年比35%減となる。市場全体の反転がなければ、より少ないプレイヤーが小さいな市場を分けることになりかねない。市場拡大の方策、あるいは新たな収益の開拓が必要とされる。
 新たな収益は、オンラインビジネスなのか、あるいはファニメーションのようなオリジナルアニメの製作なのか、あるいはアニプレックスUSAやNISアメリカのような価格・流通戦略なのかもしれない。日本からは停滞期に入ってしまったように見える米国のアニメディトリビューターだが、まだまだ目が離せない。

■ アニメ専門のディストリビューター

[メジャー志向]
ファニメーション(FUNnimation)
ビズ・メディア(VIZ Media)(日系)

[コアターゲット志向]
バンダイ・エンタテインメント(Bandai Entertainment)(日系)
アニプレックスUSA(Aniplex of America)(日系)
NISアメリカ(日系)
センタイ・フィルムワークス(Sentai Filmworks)
メディア・ブラスター(Media Blasters)
Nozomi Entertainment(アニメ専門販売事業 Right Stufのグループ会社)

[その他]
DISCOTEK MEDIA(実写映画や東映アニメーションの作品などを扱う)
ENOKI FILM(ライセンスの販売のみ。ビデオグラムの発売はしない)
Image Entertainment

■ ハリウッドメジャー
ディズニー
ワーナーホービデオ
ソニー・ピクチャーズ

[新規のラインセンス獲得をほとんど行っていない会社/事業を停止・清算した会社]

ADヴィジョン(A.D. VISION)
アーバン・ビジョン(URVAN VISION)
イマジン・アジア
角川ピクチャーズUSA(日系)
Synch-Point(日系)
ジェネオン・エンタテインメントUSA(日系)
セントラルパークメディア(Central Park Media)
バンダイビジュアルUSA(日系)
マンガ・エンタテインメント(MANGA Entertainment)