村上ファンド スクウェア・エニックス株収得

 村上世彰氏系の投資ファンドとして知られるMACセットマネジメントが3月末時点で、新たにゲームソフト会社大手のスクウェア・エニックスの大株主となった。これは関東財務局に提出された大量保有報告書で明らかになったもので、5.04%の株式を現在収得している株主となっている。村上ファンドがスクウェア・エニックスの株式を収得する目的は明らかでないが、4月15日の読売新聞は村上ファンドがスクウェア・エニックス側に既に接触し、企業価値の向上を要求したと伝えている。3月18日には、スクウェア・エニックスは2005年3月期配当金の30円から60円へ増配を発表しており、これが村上ファンドの要請を受けた結果である可能性は強い。
 スクウェア・エニックスはスクウェアとエニックスのそれぞれ創業家とソニーなど安定株主が多い会社である。客観的に判断して、株の買い増しによる経営権の収得や他のコンテンツ企業とのM&Aを計ることは非常に困難である。村上ファンドの目的はなんらかの方法でスクウェア・エニックスの株価向上を目指し株式の売却を図ることと思われる。

 村上ファンドはこれまでも幾つかのコンテンツ系の企業への投資を行っており、通常の業種以上にこの業種に興味があるようだ。昨今のニッポン放送を巡る株式騒動は有名であるが、それ以外にも2002年には角川書店の筆頭株主になったこともある。(2004年中に売却済)さらに今回の報告で持株を大きく減少させたことが明らかになったタカラや昭文社、さらに少ないながらコンテンツ系の人材ビジネスを行うクリーク&リバーといった企業の株式も保有している。
 基本的にこれまでの村上ファンドの株式収得後の行動は、一定のシェアを握ったうえで、経営者側に株価上昇のための施策を迫るものである。そうでない場合でも、株の買値より高く売却出来る機会を狙う短期的な株価の鞘取りがファンドの主目的であることは、先のニッポン放送株からも明らかである。株を収得したうえで自ら経営権を握る、M&Aを仕掛けるというケースは見られない。目的はあくまでも割安な会社の株の収得、もしくはニッポン放送やタカラのような会社経営に潜在的な歪みを持っている場合である。

 村上ファンドのコンテンツ企業への関心は、コンテンツビジネスの将来性や業界再編とはあまり関係がないだろう。もし、コンテンツ産業自体に関心があるとすれば、先週の株式相場でのアニメやゲーム関連株式の急騰ぶりにも見られるこの業種の株価の変動率の大きさである。実態が見え難い、そして夢があるぶんだけコンテンツ関連の株価は時として常識を超えた動きをするためだ。成長産業のイメージやメディア再編といったテーマも市場に対する受けもいい。
 また、企業規模も大き過ぎず比較的容易に大株主になれることも理由である。こうしたことから、今後ともコンテンツ産業は村上ファンドに限らず、投資ファンドに狙われる可能性は少なくない業種といえる。