メディアファクトリー米国ファンサブサイトに警告書送付

 ファンサブとは、米国内で未発売の日本アニメ作品のコピー活動である。1989年頃にファンが独自に入手した日本ビデオに英語字幕(サブタイトル)をつけファンの間にコピーを配る活動として広まった。当初、ビデオコピーで始まったこの複製サービスはインターネットの普及により、より組織的に簡単に行われるようになった。ファンサブの意義は日本未放映の作品を紹介することである。ネットという公共の場で複製サービスを提供することから近年は著作権の侵害として問題になると思われるが、これまで日本企業は法的手段の執行はあまり取られることがなかった。

 しかし、ファンサブ提供サイトのリンク集サイトAnime Sukiの発表によると『巌窟王』など幾つかのアニメ作品の権利を持つメディアファクトリーは2004年12月7日に日本の弁護士を通じてAnime Sukiを含む複数のファンサブ提供サイトにメディアファクトリーが権利を保持する作品をファンサブリストから削除するよう警告を送った。メディアファクトリーは、停止を行わなければ法的な処置を取るとしている。
 Anime Sukiは、自サイトは違法な作品の配布を行っていないと説明している。しかし、自社の法的責任が問われるか判らないが法的なトラブルに巻き込まれるのを避けるためメディアファクトリーが権利を持つ作品をリストから外し、違法ダウンロードを行っているサイトへのリンクを中止すると公表している。同様の警告書を受け取ったLunar AnimeやSolar、Shining Fansubs、Scarywaterといったサイトも作品の提供を中止する方針だという。しかし、警告書を受け取った他の大手サイトのWannabe FansubsとAnime-Keepは暫くの間ダウンロードを続けるとしている。

 近年の日本アニメの市場の急成長は、日米両国のアニメビジネスに携る企業の意識をよりプロファッショナルで厳しい目を持つように変えている。90年初頭までのビデオコピーの配布によるファンサブは、それなりに手間がかかるものであったが、インターネットの発展とブロードバンド通信の普及がファンサブを極めて手軽に作品をコピーする手段に変えている。違法コピーはより簡単に大規模に行われるようになっている。その規模は、ファンサブがマーケット調査の替わりの役目を果たしているとの建前では説明しきれなくなっているのでないだろうか。同時に、企業にとっても収益機会の喪失面でも見逃せなくなっているだろう。
 今回は、メディアファクトリーのみの動きだが日本のアニメ作品の権利保有者の中にはファンサブは違法で認められないとしているところも少なくない。また、米国市場には海賊版の販売、キャラクターのイメージの盗用などは多く、今後は、こうした著作権面での問題は増える可能性が高い。そして、日本企業が米国のビジネスに慣れるに従い、今後米国内で日本企業の著作権の問題に対する姿勢はこれまでより厳しくなって行くかもしれない。
 ビデオ配布によるファンサブがある特定の時代に米国市場における日本アニメの普及に大きな役割を果たした。しかし、米国内の日本アニメのビジネスの形態が変わる中、これまでのファンサブが果たしてきた役割は転機を迎えているかもしれない。