特殊映像ラボラトリー第36回 「とある飛空士への追憶」の宣伝状況を聞く。-1-
斉藤 守彦の特殊映像ラボラトリー第36回 -1-
「とある飛空士への追憶」の宣伝状況を聞く。
斉藤 守彦
[筆者の紹介]
1961年生れ。静岡県浜松市出身。
映画業界紙記者、編集長の経験の後、映画ジャーナリスト、アナリストとして独立。「INVITATION」誌で「映画経済スタジアム」を連載するほか、多数のメディアで執筆。データを基にした映画業界分析に定評がある。「宇宙船」「スターログ日本版」等の雑誌に寄稿するなど、特撮映画は特に得意な分野としている。
■ 全国100スクリーン公開。注目のアニメ映画
「とある飛空士への追憶」には、注目していた。事前に読ませてもらった、奥寺佐渡子によるシナリオの内容がすこぶる感動的で、身分違いの恋を描く、さながら「ロミオとジュリエット」のようなラブ・ストーリーを、アニメでやろうという意気込みも、また良し。興行サイドのリアクションも良好のようで、10月1日より全国100スクリーン(ファーストラン91、セカンドラン9)での公開が決定した。
作品の完成を待ち、試写を鑑賞した上で、公開を5日後に控えたこの作品の宣伝を手がけている、ふたりの担当者に現状や今後の展開などを聞いてみた。
■ カルチャー雑誌、サブカル層へのアプローチを心がける
−まず、この作品の主要観客は、男女どちらと考えていますか?
村田敦子宣伝プロデューサー
企画当初「ローマの休日」をイメージしていましたので、女性を意識した宣伝を展開しなくてはいけないと思っています。ただしこの映画には、迫力ある空戦シーンもあり、それも大きなセールスポイントです。この空戦シーンを打ち出すことが、イコール女性層が引いてしまうとは考えていません。
−原作の読者は、男女どちらがメインなのでしょうか?
村田
20〜30代の男性層が優位で、40代以上の方にも人気があるそうです。この原作ファンは、いわばコア中のコアで、映画化の情報についても、反応してくれる層と捉えています。
8月下旬から開始したマスコミ試写会でも、様々な反応が出ているようだが、女性をターゲットにしたアニメ映画という位置づけは、パブリシティ的に、なかなか難しいようだ。
村田
「切ない恋」というあたりを売りたいのですが、女性ライターの試写出席率が、今ひとつ良くないんです。ただ「爽やかなラブ・ストーリー」「シャルルがかっこいい」との評価は、ご覧になった女性ライターたちから得ています。
雑誌メディアへのパブリシティ展開については、実務担当者に聞いてみよう。
山田みかる宣伝担当
まずはコアな観客のために、原作まわりでの展開はもちろん、早期からアニメ雑誌をきちんと押さえて、それからはカルチャー雑誌ですね。「CUT」とか「クイックジャパン」とか。これから特集を組んでいただいた号や、批評が掲載された号が出ます。
−やっぱり女性層を意識したアプローチをしているのですか?
山田
私は男女という形でターゲットを考えていません。あえて言うのならば、サブカル層にアプローチしています。アニメでも実写でも音楽でも、ジャンルの垣根なく、いいものの情報を得ようとする人にこそ、この作品は伝えていきたい。
−なるほど。
山田
やっぱりアニメで女性向けのファッション雑誌を口説き落とすのは、現実的に難しいですよ。
−アニメの場合、完成から公開まで時間がないことも、影響していますか?
山田
完成して時間があるのだったら、アニメ評論家の方の声がメディアに伝わって、話題が拡大することもあったと思います。それは都内1館でスタートする場合だったら良いけれど、全国100スクリーンで公開ということになると、一般の観客を呼ばないといけませんからね。上映中のパブリシティも、もちろん継続します。主にウェブ・メディアを通じて、様々な話題を投げかけていく予定です。
2ページ 新しいヒロインに、声優インタヴュー続々露出に続くへ

