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特殊映像ラボラトリー 第12回 映画館側から見たアニメ映画戦略

斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」
第12回 映画館の側から見た、アニメ映画戦略
    -東京テアトル・太田取締役&沢村番組編成担当に聞く-

斉藤 守彦

[筆者の紹介]
1961年生れ。静岡県浜松市出身。
映画業界紙記者、編集長の経験の後、映画ジャーナリスト、アナリストとして独立。「INVITATION」誌で「映画経済スタジアム」を連載するほか、多数のメディアで執筆。データを基にした映画業界分析に定評がある。「宇宙船」「スターログ日本版」等の雑誌に寄稿するなど、特撮映画は特に得意な分野としている。

 

テアトル新宿

テアトル新宿

 従来リクープの軸足をパッケージ・メディアに置いていたアニメ作品だが、昨今ではDVDマーケットの縮小もあり、映画館での上映が見直されていると聞く。「これまでは、パッケージ・メディアのプロモーションのために、地上波の深夜ワクを買い取ってオンエアしてたんですが、この、いわゆる“ナミ代”が、いつまで経っても下がらない。ならば映画館で興行を行おうという声が多くなってきたようです」とは、さる事情通の弁。
 また「自分たちの作ったアニメ映画を映画館で上映し、お客さんが見ている光景をぜひとも見たい!!」という、スタジオ側の声も反映されることとなったようだ。

 そのきっかけとなったのが、アニプレックス「劇場版空の境界」全七章の東京・テアトル新宿における興行的成功であり、8月8日から公開された第七章も予想通りのヒットを記録した。
 その「空の境界」や「時をかける少女」などで、アニメ・ファンの認知度も高いテアトル新宿に加え、この8月22日から従来の1スクリーンから2スクリーン体制となり、「ホッタラケの島」「センコロール」、そして「空の境界・第七章」と、旬のアニメ映画をズラリならべた番組編成で話題を呼んでいる池袋テアトルダイヤ。両劇場をはじめ、都内で複数の映画館を経営する、東京テアトルの太田和宏取締役映像事業部長と、番組編成実務を手がける映像企画部マネージャー・番組編成担当の沢村敏さんに、これからの同社におけるアニメ映画戦略を聞いてみた。アニメ映画を上映する、映画館の立場からの見解や戦略を、ぜひお読みいただきたい。

            
【「アニメ色を、あまりつけるな」と、指示を出した。】

−テアトルダイヤの新しいスクリーンって、キャパ何席でしたっけ?
沢村
71席と143席です。

−かつてのテアトル池袋アニメシアターみたいに、1年中アニメを上映するのではないと思いますが、都内に複数の映画館を持っている御社が、アニメ映画を今後どう扱っていくのか、今日はそれをうかがいたいんですよ。
沢村 
つくづく思うのは、1本当たった映画があると、それによってつくイメージって大きいですねえ、映画館の。2006年に「時をかける少女」と「パプリカ」を上映して「アニメ、やってるんだねえ」というイメージがあり、2007年から「空の境界」上映し続けているんで、そのイメージが強いんでしょうね。

−テアトルダイヤは「センコロール」が入っているらしいですね。
沢村 
71席のほうに振り分けたら、全回満席です。
太田 
テアトルダイヤは2スクリーンにして良かったですよ。

−これから色んなアニメが出てきますけど、テアトルさんの映画館としては、それほど本数はやってないんですねえ。
太田 
数はやってないですよ。むしろ「アニメ色を、あまりつけるな」と沢村に言ったぐらいです。逆にそこが良いのかもしれない。確率が高いんですよ。

−当たったものしかやってない。
太田 
そうなんですよ。感じから言うとある程度矛盾しているんですが、数字の底上げは、今邦画が弱いからアニメに頼らざるを得ないけど、アニメ色をつけていくと、やっぱり本興行にも影響が出てくる。確実に当たるものを選別していくほうが、何というか、映画ファンには「アニメ色がなんとなくあるなあ」程度でありながら、アニメ・ファンには「あそこがやってるのは、確実に特色がある」というバランスが出せるかな。だから、数は多くないですよ。

−常々言われているように、「作家と対話が出来る映画館」というポリシーの中に、たまたまアニメがあったということですね。
太田 
おっしゃるように、そうです。

−でも、ヒットしたアニメ映画が多いから、アニメをやってくれというオファーも多いんじゃないですか?
太田 
多いよねえ。
沢村 
「空の境界」みたいな成功例が出てきて、それはひとつのビジネスモデルとして今までなかったし、DVDも含めて成功している。だからこのパターンで、というオファーは多くなりましたね。同時に情報も集まりやすくなりました。

−編成される立場として、何を基準に上映するかしないか決定されていますか?
沢村 
僕自身の中では、特にアニメも邦画も分けていません。基本的に作家の作品であるかということが大きいと思いますね。
当然、作家の持ち味や特徴が反映されているものには惹かれます。あとは座組のところで、コアなところの指数を計ってみたり。そういうことは当然やっています。

テアトル系映画館:アニメ映画興行成績ベストテン

theatertokyo

 ☆=「劇場版空の境界 第一章 俯瞰風景」は、2002年1月27日からのアンコール上映分を加えると、2万1666名、興収2151万6700円となる。
☆☆=時系列上映分などの興行収入を含む
また「劇場版空の境界 第七章殺人考察(後)」は、テアトル新宿において9月14日の時点で、累計1万2644名、興収1990万2600円をあげている。

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